イスラムの経典のなかに、興味深いおまじないを見つけました。
イスラム教は戒律主義ですから、お呪いというよりも教徒の義務ですね。
それは相手(イスラム教徒間)がくしゃみをしたら、その人のために神へ救いを求めてやること、という内容。
くしゃみをすると魂が飛び出る恐れがあるので、そばにいる人は「神よ、彼を救い給え」とお呪いを唱えるそうです。
このくしゃみに対するお呪い、宗教を問わず世界中で認められるもので、キリスト教英語圏でもくしゃみをすると、そばにいた人がGod Bless You、とか省略してブレス・ユー、なんて言います。
God Bless Youは本来、神の祝福がありますように、という意味ですが、キリスト教圏でもくしゃみをすると魂が抜け出るという迷信からこの言葉を周囲の人が発するようになりました。
キリスト教スペイン語圏では「健康」と言葉をかけ、2回くしゃみをすると「健康とお金」と、3回の場合は「健康とお金と愛」と声をかけるそうです。
フランスでもドイツでも同じように声をかけますが、もちろん、声をかける習慣は日本にもありました。
中世の日本ではくしゃみをすると周囲の人は「くさめ」と言ったそうです。
これは陰陽道の「休息万病(くそくまんみょう)」から来ている言葉で、休むことがすべての病気に効果あり、という意味。
日本ではくしゃみに対して、魂が抜け出るというよりも人の噂という喩えの方が強く、「一そしり二笑い三惚れ四風邪」の方がよく知られています。