日本には八百万の神がいて、山には山の神がいます。
猟師や木樵(きこり)、炭焼きなど山から生活の糧を得る山民は山の神を崇拝しますが、山の神は山の資産を山民に生活の糧として与えることから多産系の女性神として崇められています。
この山の神、日本神話に出てくる山の神とは別で、女性神であることから出産、月経の穢れを嫌うという説、また醜女であるという理由から自分よりも美しい女声が山に入ると嫉妬で荒れ狂うという説もあり、永く女性が山民の祭りには参加できなかったという経緯があります。
また山民は山の神を怒らせないよう、山に入る時はヒゲを剃って身なりを整え、山から降りて女性のいる社会に戻る時は山の神を嫉妬させないようにヒゲだらけの汚い格好になっておりるという風習、さらに山の神は自分より醜いものを見ると喜ぶから醜い表情のオコゼを山の神に供える風習もありました。
さて、ここで再度、磐長姫命にご登場願いましょう。
磐長姫命は貴船神社中宮だけでなく、雲見浅間神社や大室山の浅間神社、伊豆神社など山々に関係が深い浅間神社にも祀られています。
大室山の浅間神社は静岡県にあり、登れば富士山が見えます。
富士山麓にある浅間神社の総本山に祀られているのは木花咲耶姫。
磐長姫命に同情して大室山に登り、そこから富士山を眺めるとケガをするとか不漁になるという俗信が伊豆地方に残っています。
山の神と磐長姫命、どこか同じ匂い、感じません?
磐長姫命、本当に良縁を与えるために縁結びの神様になったのでしょうか?
それとも…?