さて、多くの言語には「擬態語」や「擬声語」といった、音をまねて作った語があります。日本語において、擬態語は「キラキラ」「ピカピカ」など、もともとは音のないものを感覚的に表現したものであり、擬声語の方は「ワンワン」「ガタガタ」など、ある動物の音声や物音などをまねて作ったものなどがあります。
「煙がモクモクと舞う」とは言っても、「煙がガグガグと」などとは決して言わないように、ある事物を表現するのにも、それに相応しい音があることがわかります。
特に、柔らかさやふんわりしたものには、やはり、子音の「M」や「Y」などが、硬いものや辛い性質には「K」や「G」が使用される傾向にあります。それは日本語のみならず多くの言語に共通して見られることです。それに、他言語の国の人が聞いても、擬態語の音から、なんとなくその意味が伝わるはずです。
なんにしても、こうした擬態語や擬声語は、物事を感覚的に表現した言葉であることから、右脳的な表現法ともいえるし、また言語の基本的、原始的な表現でもあるので、きっと根源言語にも多く使われていたと思われるわけです。
根源言語に近いと言われる、ヘブライ語にはやはり「カハカハ」など、多くの擬態語が存在するといいます。ヒトがつくる擬態音も、人類の集合無意識層に共通するイメージに基づくものだとしたら、擬態語こそ、全ての人の「潜在意識」にダイレクトに響く音なのでしょう。
また、擬態語や擬声語の多い言語を使う民族は、今述べたことからも必然的に、物事を感覚的に表現する傾向にあることが想像できます。ちなみに、日本語同様、そのお隣の国の言葉・韓国語にも、多くの擬態語があります。