メジャーリーグに714本塁打を打ったベーブ・ルースがいれば、日本のプロ野球には868本のホームランを放った王貞治氏がいます。
読売ジャイアンツが川上哲治監督の元、日本シリーズ9連覇達成の原動力となった王貞治氏は華やかな雰囲気を持つ長嶋茂雄氏とよく比較され、その求道的な姿勢は長島ファンとは違った層から人気を集めました。
「時には嵐のような逆風が人を強くする」
王氏はジャイアンツに入団する際、ピッチャーのポジションとして契約しましたが、その後、すぐに1塁手に転向、打撃を買われましたが1年目の打率は.161と振るわず、王は王でも三振王、などと野次られた時代もあります。
「練習を怠る人がうまくなることはないんですよ。修練してうまくなった人がよりうまくなるんです」
王氏は打撃不振でも若かったせいか、意外と合宿所を抜け出して夜遊びをしていたといいます。
その夜遊びを止めさせたのが王氏を見出した荒川博氏。
二人で一本足打法を作り出してからの練習方法は凄まじく、当時のチームメートだった広岡達朗氏や藤田元司氏らが冷やかしで王氏の練習を見に行ったところ、あまりの緊迫感から全員が正座していた、というエピソードが残っています。
現役引退時のコメントは、
「王貞治のバッティングができなくなりました」
という言葉。
この年、王氏は30本のホームランを打っています。
最後まで求道的な姿勢を崩さなかったのがいかにも王氏らしいところです。