もう1本、佳作からの名セリフを紹介しましょう。
日本では2013年に公開された「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」は、優雅なリゾート生活を送るためにイギリスからインドのジャイプールにやってきた7人の熟年男女の物語です。
優雅なリゾートホテルのはずだったマリーゴールド・ホテル、じつは廃墟に近いぼろホテルで唖然とする7人、しかし出会った人たちや現地のゆったりした時間から新しい価値観を見出していく、という内容です。
この映画の名セリフがこれ。
「Everything will be all right in the end. And if it is not all right, then it is not yet the end.(何もかも最後はうまくいくんです。もし、うまくいっていなければ、それは終わりじゃない、ということです)」
このセリフを言うのはホテルのオーナー、ぼろホテルをなんとかして一流のホテルにしようと孤軍奮闘する青年のオットー。
このオットーの誠実な態度に7人の熟年男女がそれぞれの経験を生かして協力していくわけですね。
人間、歳を取ると冒険しなくなったり、自分の固定観念にしがみついたりします。
まあ、それも老人の特徴であり、いい面でもあるのですが、やはりいくつになっても気持ちだけは新鮮でありたい、そんな風に思える映画といえるでしょう。
狂言回し的存在のイヴリン・グリーンスレイドを演じるのは「007シリーズ」のM役でお馴染みのジュディ・デンチ。
Mの慄然とした表情とは違った温かみのある演技は、イギリス王室からDame(デイム:男性のサーに並ぶ爵位)の称号を授与されたことを十分に実感させるものがあります。