前項で紹介したスペクタクル超大作2作より1年さかのぼって2000年に公開された「キャスト・アウェイ」から名セリフを紹介しましょう。
ストーリーは南海の孤島に漂流した男の4年間に渡るサバイバルがモチーフとなっています。
トム・ハンクス演じる主人公チャックは世界の物流を担うフェデックスの社員で、その日も貨物機に乗り込み、荷物を配達している最中、貨物機が嵐に巻き込まれて墜落し、1人だけ孤島に漂流します。
ここからチャックのサバイバルが始まるのですが、とにかくそんな経験のないチャック、失敗ばかりです。
やがて墜落した貨物機の漂流物が島に打ち上げられ、その中にはバスケットボールもありました。
チャックはそのバスケットボールにウェイルソンと名前をつけ、擬人化させてチャック以外誰もいない無人島で唯一、話し掛ける存在とします。
チャックは孤独の鬱憤を何度もウィルソンにぶつけて蹴飛ばしては、ウィルソンがいなくなった喪失感から探しだして謝るなど、映画で、しかも相手がバスケットボールと分かっていながら、段々と擬人化されたウィルソンが有機的に思えてくるのがなんとも不思議。
チャックはなんとか筏を作って、ウィルソンを伴って無人島を脱出しますが、途中、暴風雨に遭い、ウィルソンが流されてしまいます。
その時、必死になって泳ぎ、ウィルソンを取り戻そうとするチャック。
しかしウィルソンは無情にも流されていきます。
「ウィルソン、ごめんよ。ごめんよ、ウィルソン・・・」
たかがバスケットボール、と思いつつも涙なしでは見られないシーンです。
…どこが名セリフか、って?
…いやですね、想像力と情感の乏しい人は。