「お前はもう死んでいる」の決めセリフが有名な『北斗の拳』、これ以外にも名セリフを多く残しています。
たとえばケンシロウが経絡秘孔や破孔を突く際に発する気合、
「あたたたたたたたたたたたたたあ!」
とか、秘孔を突かれた相手が倒れる時の悲鳴、
「あべし!」など。
極めつけはなんといっても
「ひでぶ!」でしょう。
気合だとか悲鳴が名セリフになった作品は後にも先にも『北斗の拳』ぐらいですね。
この『ひでぶ!』という悲鳴、本来はただの『ひでえ!』だったのですが、ネーム(かつて吹き出しは写植によって行なわれており、時間がかかることや編集チェックなどによってコマ割りと吹き出しを先に描きますが、これをネームといいます)の際、作画担当の原哲夫が悪筆だったため、ひでえ!が写植屋さんには「ひでぶ!」と読めてしまったことから、この名セリフが生まれたそうです。
この作品が掲載されるまで週刊少年ジャンプはラブコメ路線だった週刊少年サンデーの後塵を拝していましたが、一気に逆転、『北斗の拳』は3年間読者アンケート第1位の座を確保、ジャンプ躍進の担い手となりました。
以後、週刊漫画雑誌はライバル誌と他の路線の個性を打ち出すのが不文律、という漫画誌の根幹姿勢を変えた作品でもあり、その意味でもエポックメイキングな作品といえます。