「人間の数が減ったのだよ。ぐーんとな…。放射能と公害のためだ。もう人間はひとり立ちできんのだ…」
これは『鉄腕アトム』の最終回のひとつ、『アトムの最後』からの台詞です。
これを言ったのは主人公の男の両親で、じつはロボットだった、という話。
あんまりネタばらしをしちゃいけないんだけれど、簡単に言うとアトムが活躍しなくなってロボット博物館に収蔵されてから50年後という設定です。
試験管からいきなり赤ちゃんが生まれてくるというショッキングなオープニングで・・
「これ、子供に見せられないでしょう!キーッ!」と叫びたくなる教育ママ(死語ですが、こういう存在はけっして消えず、今はモンスターペアレントなんて呼ばれていますね)がいてもおかしくありません。
他にも主人公の子供時代、遊びで「自殺ごっこ」をして他の子供をやっつけたり(これが重要な伏線なんですが)、子供のお母さんを間違えてやっつけたらロボットだったり、大人になった主人公が今度は修理されたお母さんロボットを確信犯でやっつけたり、とけっして穏やかな内容ではないのです。
『鉄腕アトム』に関してのストーリーを追いかけると、とてもこのコラムでは終わらなくなってしまうのですが、冒頭の台詞、単なる寓話で終わる話ではない、と思いませんか?