イソップ物語の「ウサギとカメ」の寓話、多くの改変があります。
有名なのは「リーマスじいやの話」という童話集に出てくる「ウサギどんにあいてがあらわれた話」ですね。
ウサギとカメが競争するという点、ウサギが高慢ちきで生意気で自信満々な点は同じですが、競技性が高まっており、きちんとハゲタカが審判員になっています。
またカメは足の速いウサギに対してハンディキャップを申請、ウサギの走る道ではなく茂みの中を進むことを主張します。
そして始まったレース、ウサギは茂みの中のカメを確認しながら走ります。
しかし茂みの中のカメに声をかけると必ず声が返ってきて、少しも離すことができないウサギはやがて苛立ち、ゴールへ一目散、しかしゴールにはなぜかカメの方が先に現れ、ウサギに勝つというお話。
種明かしをすればカメは奥さんと3人の子供を予め茂みに隠しておき、ハゲタカに見つからないように声を出させ、当の本人はスタートの時からゴールで待ち伏せしていたのです。
ウサギには本人も奥さんも子供も、同じカメにしか見えなかったわけですね。
この「リーマスじいやの話」というのは黒人の口語伝承を物語としてジャーナリストのジョーエル・チャンドラー・ハリスがまとめたものです。
時代は南北戦争(市民戦争)後のアメリカなので、カメを黒人、ウサギをアングロサクソン系と見て、地位が低くても策略を用いれば権力を倒すことができるという寓意まで拡大解釈することができます。