いつの場合も、成功には協力者による協力が心要である。協力者を数多くかかえ、そして正しく選ばれたその能力が正しい対象に適合させてあるならば、その人の成功は目を見張るほど大きなものとなる。ここで大切なことを一つ指摘しよう。
それはこの協力者は、あなたの友人でなければならぬ、という点である。あるいは味方であると言葉を代えてもよい。それはたんなる営利だけのつながりではなく、そこには「友情」と「たがいの尊重」という感情が介在せねばならぬのだ。
次に大切なことは、協力者の才能について、過大な期待を持ってはならず、また、その人の才能の欠けた部分をもって、それを必要とする部処にあててはならぬ、という点である。人は誰にも得手不得手がある。その能力の及ばざるところに、その人をあてて、それがうまく行かないことに歯がゆがったり、もっと勉強するようにと、叱咤してはならない。
これは人心を自分より遠ざける方法であり、良き協力者を失う道でもある。ただし、前記したような、自己の利益のためだけに、協力者をよそおって、あなたに近づいてくる偽の協力者については、ひそかに、しかも厳に警戒を怠ってはならないのは勿論である。
しかし、総じて、協力者というものに対してあまり不信の念を持って接しない方がよい。というのは、協力者に能力の高低はあっても、悪質なる者というタイプが寄ってくることは少ないからである。
なぜなら、協力には大かれ少なかれ、あなたに対する「奉仕」の意味があり、悪質なる者は、この勤勉さをよそおうには、あまりにも怠け者である場合が多いからだ。