使う金は他人をも喜ばせよ

では、使う方のおカネについて考えてみるとして、どのような使い方をすれば、それは成功にとって、最も好ましい使い方になるのであろうか?ここでまず別にして考えなければならないのは、ここでいうおカネとは、事業資金すなわち投資的なおカネは含まない、ということだ。

それは、ためられたおカネの消費という意味においてである。ずばりいって、この使い方は「自分と他人に対し、共に喜びを与えるような使い方」にすべきである。

また更にいうならば、それは「大衆に奉仕するための使い方」に工夫されるべきであろう。そして、他人を助けることがわが喜びであるよう配慮されるべきだ。

このようなおカネの使われ方をすれば、まず第一に自分の自己重要感は高められる。ついで友情は自分に集まる。人々と喜びを分かつ時、その人の成功は初めて完全なものとなるのだ。しかし、このように使われるおカネも、その成功の度合いに対し、おのずからの枠がある。それは、無制限に放出するべきではない。

西洋では、昔、教会に信者が収める献金を「タイス」といったそうだ。このタイスの意味は10分の1で、これは農夫のその年の収穫から、その10分の1を年貢として、領主あるいは教会に納めたことに由来するという。

ためたおカネの10分の1、これを人生の喜びのために使うには、かっこうの量ではあるまいか?この10分の1は、安全度を保証する数値である。これに従って、寄付や他人への援助をしている限り、まずもって経済的な破綻はあるまい。

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