どのようなアイデアも、それにじっくり時間をかけ、目標をイメージ化し、細部にわたるまで明確化しなくては、現実に世の中には生じてこない。そして、そのアイデアはたんなる思いつきにすぎないものになってしまうのである。
願望のイメージ化は、多くの成功哲学書の説くところであり、それは今やことさら目あたらしい教説とはいえなくなった。しかし、この願望のイメージ化が、自分の人生の成功に直接関係あるものだったら、すなわち、ひらたくいうならば、おカネ、地位、身分、名声などを得たいという願望ならば、そのイメージ化に当っては、ぜひ次のことを考慮に入れて、それを行なわねばならない。
それは「いかにして、大衆に利益をもたらすか?」という命題である。その利益とは、たんにおカネだけではないことは、第三十五話ですでに述へた。要するに、それは人々を良い心持ちにしてあげることなのだ。これはいうなれば、人々に喜びを奉仕する作業である。
アイデアがたんなる一つの思いつきから、そこに大衆への奉仕という要素が取り入れられて、次第にその姿が脳裏において明らかになって行くにしたがって、ツキはあなたの方に近寄ってくる。
そして、あるコネを得て、そのアイデアは突然、この現実界に姿を現わし、大鳳のように大空に羽ばたくことになるのだ。