しかし、もし自分が失敗者の側であったとしたら、これはどうだろう。原理は第三十三話のケースと同じである。すなわち、自分には失敗要素があったのだ。それを因として、失敗体験が果として現われたのだ。
だから、自分の心の中から、この失敗のための心構えを取り除かないかきり、自分は再び失敗をかさねることだろう、とこのように冷静かつ公平に自分を観察するのである。
そのためには、反省も必要だし、また、友のアドバイスも必要としよう。そして、自分の欠点を発見したら、全力をあげて、その欠点を矯正するよう努めねばならない。この努力をくりかえし、遂にその欠点を除去した時、はじめて、あなたは失敗型人間から、成功型人間への道へ、自己の軌道修正をすましたことになる。
このような軌道修正をすますことなく、友人やコネを頼って、何かの助けを求めることは無駄であり、かつ有害でさえある。あなたは、良き友、有力者の好意を心ならずも裏切り、人心とツキを自分から去らしめてしまうからだ。苦しくても、人の力に頼らず、ここはまず己れ自身を改善することだ。その改善に成功すれば、それはすなわち大成功のための第一歩の成功なのである。
そして、その小さな成功の実証を世人に示すことができた時、あなたについての信用もそこに生ずる。やがて、それはあなたへの信頼となって行く。このようになって行けば、こちらから頼んで行かなくても、向うから助けは、あなたに訪れてくる。すなわち、ツキはこちらに廻ってくるのである。