成功者に共通する特質の一つに、「自分を客観視できる」という点がある。これは、自分と他人が相対している時、それをあたかも第三者、すなわち観客的な目をもって、絶えず観察している、という意味である。この方法によって、成功者は常に、より公平に自分の言動を評価し得るのである。
将来自分の不利になるような部分を見出したら、直ちに、自分自身のむかっている方向の軌道修正をし、もって危険を最小限にくい止めようとするのである。そして、その次が最も大切な点なのだが、その時点において犯してしまったミスについて、「自分自身を許してしまう」のである。
「な-に、オレも人間だ。ミスすることはあるさ。これからなおせばいいんだ」といった風に、軽く心の中から片づけてしまう。ここが、多くの凡人と成功者の異なる点なのだ。すなわち、軌道修正のあとは、あっさりと忘れて、くよくよとそれについて悩まないのである。
ところが、凡人は犯してしまったミスは返らぬことと知りつつも、いつまでも後悔しつづける。それでいて、自己方向の軌道修正は行なわないままなのである。それでも、凡人は失敗者に比べれば、まだましであろう。なぜなら、人生において常に失敗をくり返すものは、自己客観ができず、自分の犯したミスに気がつかないままだからである。
その結果、人心は自分から離れて行き、ツキは次第に落ちて行く。ところが、この失敗者は、「なぜ、私はこのように運が悪いのだろうか?」と首をかしげるばかりなのである。