「ツキが落ちる」といっても、それは何もおカネが入ってこなくなったり、失ったりする場合だけのことを意味するのではない。おカネ以外のことにも、失ったら不幸感を覚えるものは、他にいくらでもある。
まず「愛情」がある。異性愛、友情、自分に対する信頼度や信義を混じえた親近感などが失われることもある。「健康」がそこなわれることもある。これに関係したことが、若さや活力をなくすこともそうである。
「地位」を失い、昇進が止まることもある。信用を失い孤立無援となるので、孤独感に悩まされるようにもなる。ツキは人的関係を媒体として訪れたり、去ったりするものである。つまり、ツキというエネルギー流は、コネというパイプラインの中を流れて、人々の間に行きわたるものなのだ。
ところが、多くの人は、それを天然自然の不可思議霊妙なる力のように思っており、それは人力ではいかんともしがたいように考えたり、またおまじないなどの神秘的秘法をもって、ツキを自分の方へ向けることができると信じていたりする。
確かにそういう部分もなしとはしないが、しかし、ツキの大部分は人脈を通じて生ずるものであり、それはまた、自己コントロールという手段で創造し得るものなのだ。つまり、ツキは人力で左右できるものなのである。