悩みが多いとは、必ずしも、解決しなければならない問題を沢山かかえている、という意味ではない。ここのところが、多くの世人は間違えて考えているところである。問題とは外部にあり、悩みとは内部にあるものなのである。そして、問題の量と悩みの量は必ずしも正比例しないのだ。
スーパー成功者は、常に解決しなければならない問題を山のようにかかえているが、彼は精力的にそれらに取り組み、その解決に全力をあげている。しかし、悩んではいない。これに反して、失敗者は、僅かな問題にも、くよくよと悩み、自分の不運を嘆いたり、その苦しみを他人に訴えたりするのである。
成功者は、その問題を解くのを、むしろ楽しんでいる風すらうかがえる。これは、この成功者は、人生そのものを楽しもうとしているからである。すなわち、彼は人生芝居という現在進行形のドラマを楽しんでいるのだ。
一方、失敗者にその余裕はない。注意しておくが、この余裕とは経済的余裕を指しているのではない。あくまでも精神的な意味の余裕である。「なあに、まかり間違っても、命に別状はないんだ」といった風に、多寡をくくって人生を眺める態度も時には必要である。
人間にとって最悪の状態とは、死ぬことだと考えてみるならば、人生におけるたいていの場合は、最悪の状態までは行っていないものである。また、この最悪の状態は、つまり死は遅かれ早かれ、いずれはだれの身にもやってくるのだから、その日のくることについて考え、悩んでみても始まらない。