自分の表情から寒気を取り去れ

多くの人々は「日のあたる場所」を求めて生きている。これは経済的な意味においても、精神的な意味においてもそうである。人間は、一般的にいって、寒冷な場所よりも温暖な場所に集まりたがるものだ。

にもかかわらず、この世の中には、寒気を表情に浮かべている人がなんと多いことか!試みに電車の中で、周囲の人々の顔をうかがってみたまえ。眉をけわしく寄せている人、ひたいの中央にしわを寄せている人。

口をへの字に結び、目つきのけわしい人。これらの人々は、みんな自分の周囲に寒冷の地をきづいている人である。勿論、これらの人々でも、気に入った人と相対する時、愉快な時は、破顔一笑することであろう。しかし、大切なのは、その破顔する以前の基本的表情相である。

これは後天的な人相であり、実際のところ、先天的な人相すなわち骨相などより、はるかにその人の運命を左右するものなのだ。「三十才過ぎてからの顔は、その人の責任である」とは古人の言葉である。これは、人々に暖かい安らぎを与える顔であるかどうか、の意味にとっても差しつかえないと思う。

このような表情は、自分で作れる。つまり、鏡を見て、顔の筋肉の緊張をゆるめるのだ。ひたいの皮をのばし、口の両端にあるかなきかの微笑、あのアルカイック・スマイル、「モナリザの微笑」を浮かべてみよう。そして、日常の生活の中でも、時折り、自分の表情に気をつけてみることが大切である。そして、少しでも、そこに緊張があったら、常にそれを取り去るように気をつけることだ。

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