成功者の特質の一つに「決心の迅速果断」がある。成功するタイプの人間は、決心が速く、しかもそれを変えなければならなくなった時、それを変える時期が遅い。つまり、なかなかその決心を変えないのである。
これに反して、失敗者の特質は、なかなか決心できなくて、迷いつづける。しかも、他人の言などに動かされると、すぐその決心を変えてしまう。成功するタイプの人間には、ある種のいさぎよさがあり、失敗者の態度には、常に優柔不断さがつきまとう。
ではなぜ、この決心のとりあつかい一つで、好運と衰運の分かれ目が生ずるのであろうか?それは、人心の来たるか、去るかによって生ずるのである。すなわち、いさきよさに人は魅かれ、優柔不断さに対しては、人は失望し、そして去るのである。
およそ、人の成功とは、他人の助けなくしてはなし得ない。ゆえに、人心の寄り来たるは、ツキの寄り来たるとの同義語であると思って差しっかえない。ツキを逃がす人間とは、人心を容易に去らしめる人間である。しかし、このような人間でも、好んで人心を自分から離反させているわけではない。ただ、気づかずして、そうなってしまうのである。
では、なぜそうなってしまうかというと、それは一言にしていえば、自信つまり、自分を信ずることができないからである。無論、ことにのぞんでは、他人の意見をそれぞれに聴き、それを参考とすることは重要である。しかし、その事を決するのは、あくまでも自分であり、そして、その決定について責任を負うのも、あくまでも自分自身なのである。この自立の気概なくして人心を魅きつけることは出来ない。
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