心の内の欲望の火も、現実に燃える火も、その取りあつかいのやり方は同じである。
われわれ人間は誰でも、火のとりあつかい方を知っている。
かまどを築き、そこに鍋をのせ、食物を煮る。
そして、その火が周囲に拡がるのを防き、火事にならないようにする。
また、ヤケドしないように注意することもできる。
ところが、心の火が燃えさかる時、とかく人はそれをうまくコントロールできなくなるものだ。
たとえば、ゴルフで最後の一打が入るか入らないかで、チャンピオンになれるか、なれないかの瀬戸際になると、日頃は、何でもない容易なパットを、心の動揺でミスしてしまうことがよくある。
この時こそ、欲を捨てるのだ。
これはチャンピオンになるという欲望そのものを最初から持つなという意味ではなく、むしろ、その欲望達成のために無心になれということだ。