本題へ入る前に、月の潮汐力がどのくらい強力なのか、寄り道してみましょう。
まずはモン・サン=ミッシェル修道院があるフランスのサン・マロ湾。
潮の干満差が15mもあったことから満潮時には海に浮かぶ岩の小さな島に修道院が建設されました。
干潮になると自然に表れる陸橋によって修道院へ行くことができますが、大潮になると沖合18kmまで引いていた潮が一気に押し寄せてくるため、多くの巡礼者が潮に飲まれて亡くなったそうです。
その後、人工の陸橋が作られたことによって潮と関係なく修道院へ渡れるようになりましたが、その陸橋によって潮の流れが変わってしまい、島の間際まで潮が来ることがなくなってしまったことから、現在はかつての姿を取り戻す工事が続けられています。
もうひとつはタイダル・ボア。
聞きなれない言葉ですが、これは大潮の時、満潮時になると潮が河川に侵入して逆流する現象です。
カナダのファンディー湾やイギリスのセバーン川でも見られますが、なんといっても迫力あるのが中国の銭塘江(せんとうこう)。
逆流した波が川岸にいる観光客の目の前で砕け散る光景をYouTubeなどで見た人もいるでしょう。
ちなみに筆者が住む街に流れる川も海に近いせいか、潮汐によるタイダル・ボアを見ることができます。
30~40cmぐらいの水面差と逆流する川の流れを見ると潮汐力を実感できます。