思い描けましたか?以上の『ルナ・テスト』は、心理学の性格テストの一つである「樹木画テスト」(一般に「バウムテスト」ともいう)を参考に作成したものです。このバウムテストは投影法の一つに分類されているものであり、1949年にスイスのK・Kochによって作成されました。
バウムテストの「バウム」とは「木」の意味で、その名の通りに一枚の紙に自由に木を書かせるだけの簡単なテストなのです。
それでも、被験者が与えられた課題(この場合は「木」)を描くときには、その時点でもっとも関心を持ち、かつ共感できるものを選んで、それを自己と同一化することによって、そのときの内的感情を表現しやすいという理論背景があるのです。
つまり、表現された像(この場合は「木」)には、被験者の基本的な自己(人格)像が示されているということです。被験者は与えられた課題に、自分自身の姿を投影しているというわけです。
また、空間象徴理論により、課題が紙のどの位置(空間)に描かれているかによっても、ある程度のことが分析されます。左方は被験者の内面、自我、過去などを示し、下方なら物質的なもの、意識下のもの、自己の基本点などとされています。
そして、『ルナ・テスト』でも、まず描かれた「月」がその人自身の内的感情や内的充実度(精神エネルギー)を表現したものとして評価します。満月のように丸く、大きく、輝く月を力強く描いた人はその月のようにエネルギーに満ち(精神的にも肉体的にも)、現状にも満足し、かつ未来における希望も大きいという傾向があります。
半月の場合、その弦の部分が上下左右4つの、いずれかの方向を向いていることが考えられますが、この際、上弦か下弦かは評価の対象にはしません。ただ、上側と右側に弦がある場合は未来指向で、現状にはあまり満足していませんが、将来に掛ける期待が大きいという傾向がみられます。また、反対に下側と左側に弦がある場合、
ルナ・テストの解説 Edit
現状や未来における期待感よりも過去指向である傾向がみられます。
ラグビー型(極めて稀な形)の月を描いた人は、かなり強い願望や期待がある反面、それが自己の弱さによって実現できないなどジレンマに陥りやすく、そうした萎縮しかかった精神エネルギーや自己否定的な要素を持つ傾向にあります。
三日月はどちらに向いていても、精神エネルギー的には良好な傾向にあり、かつ物質的な価値観よりも精神的なものに価値を見出す傾向にあります。細い三日月ほど、精神的な価値観や充足感を求める傾向にあり、それは新月の形では最高になります。
これらの月において表現された色、輝き、模様などは、その人の栄光度(他人から自分はこのように見られているという自負、期待感など)を示します。
次に、その月の位置ですが、紙の中央上側、中央下側、、右側、左側の4つを基本位置として、その描かれた位置によって被験者の現状の心の機能を評価します。
左側は1.直観機能、中央上側は2.感情機能、右側は3.感覚機能、中央下側は4.思考機能となります。また、紙の右上から対角線上に仕切って評価すると、紙の左部分(上記の1と2にあたる)は右脳優位、右部分(上記の3と4)は左脳優位の傾向を示します。
基本位置から少しずれて上下左右のいずれかに偏っている場合、たとえば月が上側に描かれ、なおかつ多少右側にずれている場合には、「感情的な機能が主要な部分を占めるが、冷静に分析的な判断をすることもできる。わがままになると物事の選択は自分の好き嫌いによる傾向がある」などと評価ができます。要は、4つの基本位置のそれぞれの意味の組合せということです。
さて、月が描かれている空は朝、昼、夜のうちどれか、という課題がありましたが、それは、被験者の主な活動時間帯を示しています。また、「どんな家か」という課題もありましたが、それはその人の社会的ステータスや裕福度を示します。しかし、たとえ小さくみすぼらしい家でも、それが力強く描かれていれば、その現状に不満はないというように分析することができます。
反対に、立派で豪壮な家であってもそれが薄く弱いタッチで描かれている場合は、そうした立場にありながらも不満がある(満足できない何か鬱憤)か、あるいは実現不可能だと思っている憧れ、希薄な希望などを意味しています。
最後に、描いた月があなたを見つけて文句(抗議)を言ったというシチュエーションがあり、それがどんなものかという課題もありました。その文句(抗議の内容)とは、実はあなたが解決しなければならない心の欠点、問題点そのものを指し、それこそ本当の「課題」であることを意味しているのです。