そんなことを考えていた矢先、こんどはアラビア(方面)出身の知人が、「日本語の『チャランポラン』という言葉は、ペルシア語を起源にしているのを、おまえは知っていたか?」と言ってきた。「ん! たしかに、そうだった」もしや「ケサランパサラン」の言葉の起源は、アラビア語系統の言葉だったりして? そんな考えが頭をよぎる。
『チャラン・ポラン』の最初の音は文字で書くと「CH」となる。これは英語でも分かるように「チャ」の音のほか、「ケ(KE)」という音にも転化することがある。「(チャ)ラン・ポラン(CHARAN・PORAN)」と「ケサラン・パサラン(CHSARAN・PASARAN)」の音、よく似ているではないか!
ペルシア語では「charand‐parand」という表記にもなるという。(さらに「チャラン・ポラン」は、日本でもその昔は「チャラン・パラン」ともいったそうだ。これだと、もっと似てくる)
そういえば、筆者は「ケサランパサラン」という言葉を英語風に書くときには、昔からもっぱら「Chesarang-Pasarang」という表記を用いていた。ま、これは余談だが。チャランポランの現在の意味は、「いいかげんで無責任なこと」であるが、もともとは「なんでもいいもの」「どうでもいいもの」などにも使われていたのではなかろうか?
また、ケサランは、ひょっとすると「チンプン・カンプン」などという言葉とも語源的なつながりがあるのかもしれない。なぜなら、「チンプン・カンプン」というのも、辞書を引くと「何がなんだか、さっぱりわからん」ということだし、音もちょっとだけだが似ているといえば似ている。(もっとも「チンプンカン」は漢字では「珍粉漢」とも書くが・・・。この「粉」は白粉につながるものか?)
これは偶然か、それとも何か関係があるのか、それこそケサラン・パサラン(さっぱりわからん)といったかんじ…。 そういえば、「チチンプイプイ」という言葉もあったなぁ。あれはどうなんだろう? やっぱり、さっぱり、わからん・・・
とりとめのない話が続いた。これを昔は「戯言」(たわごと)と書いた。そして、ペルシア語で「たわごと」のことは「charand‐parand」と言った。それは・・・ いや、もうやめよう。ともかく、前で見てきたように、ケサランは日本を超えて、アジア全域にも、さらには中近東、ひいては全世界に存在する普遍的なものだったのかもしれない。いや、今よりもっと昔は、きっとそうだったに違いない。