ともかく、このような形で、ケサランを育てていると(実態は、ただ保管しているだけなのだが)、幸運に恵まれる機会が増してくる。伝説はそう伝える。それは、ある日突然に大きな幸運を授かるという形のこともあるという。たとえば、宝くじに大当たりして、思いがけず大金が舞い込んできた、といったぐあいに。
しかし、幸運のタネは突然にやってくるだけではない。徐々に、ジワジワと高まりゆく幸せもあるだろう。
できることなら、幸せな日々が永遠に続くというのがベスト。突き詰めると、幸せでいられるかどうかは、環境が恵まれているというより、その人自身が自分の感情に満足できるかどうかに掛かっている。と、そう思う。
箱の中でケサランを大切に育てていくこと、それは、その人がこれまでに抱いていた夢や理想をもう一度育んでいこうとする、前向きな姿勢にも投影できるのかもしれない。そうだとすると、それはケサランを育てていきつつも、同時に、心の中にしまいこまれていた夢も一緒に育んでいくことにつながる。
ケサランを育てているうちに、いつしか幸せな気分に浸っていられるようになるのは、そんな「夢を育もうとしている自分」にもう一度、気付かせてくれるからなのだろう。ケサランを育てることで「幸せがもれなくついてくる」のように言われてきたのも、実は「夢を育もうとする姿勢こそが幸せに到る鍵となる」ということの象徴だったのかもしれない。
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