『グレムリン』という映画があった。架空の生物であるモグワイという不思議な生きものとそれに振り回される人間たちを描いたSFホラー&コメディだったと記憶している。
モグワイは可愛い縫いぐるみの愛玩動物のようにも見え、人間にもよくなついているのだが、ひとたびその扱いを誤ると、取り返しのつかない大変なことになってしまうのだ。
すなわち、モグワイを飼うには、3つの大事な決まり(というよりも、必ず守らなければならない「おきて」)があった。たしか、真夜中を過ぎたら食べ物を与えてはならないこと、光に当ててはならないこと、そして、水に濡らしてはならないこと。この3つだったと記憶している。映画の中では(話を面白くするためにも)けっきょく、このおきてが破られてしまい、可愛いモグワイは、とんでもないものに生長してしまう・・・。
ま、それはビデオかなんかで見てもらうとして、ここで言いたいのは、このモグワイの成長過程の一シーンに、モゾモゾした毛玉状(毛球状)のものが出てきたことである。毛玉が分裂したりするところもなかなかの見ものだった。それを見た当時、「あ、ケサランみたい」と思ったものだ。また、ケサランを飼うにあたって3つの「おきて」なるものがあるとしたら、それは何かを考えてみた。
「1.夜中におしろいを与えてはいけない」(はたから見ていて不気味だから)、「2.風のあるところでケサランの箱をあけてはいけない」(飛んでいってしまうから)、「3.汚い手、もしくは湿った汗ばんだ手で触ってはいけない」(ケサランが汚れるから)・・・
とまぁ、そんな他愛ないことを考えたりもした。一方、(ここからは真面目な話にもなるが)山形の庄内地方では、昔からテンサラバサラ(ケサランの一種)に関して、「桐の箱に入れ、おしろいを与えておくこと」、「神棚に祭ること」、そして、「一年に一度しか見てはいけないこと」という、ちょうど3つほどの「・・・すること」と言い換えられる「言い伝え」まで実際にあるというのだ。