持ち主に幸運をもたらす不思議な毛玉とは?ケサランパサラン

それは山を歩いているときに道端に落ちているかもしれないし、あるいはビルの屋上にいるときに空からふわふわと舞い降りてくるかもしれない。それはあなたに幸運をもたらす天からの使者だともいえよう。

それを捕まえて大事に育てれば、あなたは幸福行きの切符を手に入れたようなもの。でも、それはなかなか見つからない。なかなか手にも入らない。その名は、誰も知らないのに強烈な存在感を放つ名前、ケサランパサラン…

「持ち主に幸せをもたらすっていう『不思議な毛玉』のこと、知っている?」「えっ 何それ? 不思議な毛玉? あ、もしかして、それって、あの『ケサランパサラン』のこと?」

そう、ケサランパサランとは、その姿は毛玉そのものなのだが、なんと、それが生きているという、摩訶不思議な代物のことをいう。だから、「毛玉」と聞いて、すぐに「ケサランパサラン」の名前が出てくる人は、なかなかの物知りだといえよう。

「ふーん、そんなものか。オレなんか、さっぱりワカランかったよ・・・」「ご名答! 今、あなたは「ケサランパサラン」の、まさに核心を言い放った!」「へ?」

説明しよう。ケサランパサランの名前の由来は、実は東北地方のある方言で「サッパリ、ワカラン」から来ているというのだ。つまり、それは誰にとっても「さっぱりわからん代物」だったのだろう。

「なんのこっちゃ?」たしかに、それだけでは、さっぱりわからんだろうから、いや、よくわからないだろうから、ケサランパサラン(以下「ケサラン」)の背景について、少し語ってみることにしよう。

実は、ケサランには、東北地方を中心に、その不思議な性質を示した、幾つかの伝説や伝承があるのだ。それら伝承は、明治・大正のころまで遡れるようだが、そもそもの始まりはよくわかっていない。

伝説や伝承に共通しているのは、ケサランはふわふわした毛玉であり、それをふとした偶然で手に入れることは、「幸運をさずかるしるし」とされていることなのだ。どこか、四つ葉のクローバーと似た感もあるが、ケサランのほうは探す場所さえ皆目検討がつかない。そこで、偶然に発見され、手に入れたケサランは、家宝として大事にしまわれるものとなった。

「大事に扱えば、幸また多し」というわけだ。また、幸運のシンボルであるケサランは代々、その家の娘が嫁ぐ際に、母親から受け渡されてきたという、そんなほのぼのとした、ある地方の伝説の物語まである。

しかし、ケサランは伝説の中でだけ語られるものではない。今でも実際に、実物のケサランを保有している旧家やお寺などが、やはり東北地方などに点在しているのだ。そこでは、昔からケサランは、桐の箱の中に大切に収められ、子孫へと代々伝えられてきたのだ。

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