開運印鑑、歴史的に見ても近年になって突然、現れた商法です。
印相、とは本来、ヒンドゥー教や仏教の用語で、両手の形によっていろいろな意味を表現する言葉。
仏像が片手を上げて手の平を見せ、もう一方の手を膝の上に乗せて手の平を見せる、あのポーズのことです。
したがって本来の印相と開運印鑑が用いる印相学はまったくの無関係で、開運印鑑の印相は手相、顔相といった占いの用語から発生した同じ類の言葉です。
つまり開運印鑑とは占いの一種ですね。
パワーストーンがそうであるように、根底にあるのは明らかにニューエイジ思想への需要。
論理的なように見せていますが実体は直感的理解に基づき、主観的体験を重視しているので、製造業者が「この形にすれば開運間違いなし!」と太鼓判(ハンコ屋だけに)を押せば、それに従わざるを得ません。
印章を文化と考え、伝統を守る印章篆刻家にしてみれば忌々しい商法と映ることでしょうけれど、逆に言えば、根拠のない開運印鑑でも占い好きの人に取っては開運グッズになってしまうのですから致し方ありません。
開運印鑑が法外な価格であれば社会問題となりますが、今のところ、一般的な印鑑よりもやや高い、という価格設定(なかには2~3倍するところもありますが)で抑えているので、その差額を購入する本人が納得すれば、これも致し方ないところ。
さて貴方はここまで読んで、なお開運印鑑を開運グッズとして購入しますか?