重要な情報の多くは連呼されずに1回限りであることが多いので、記憶するためには自分で連呼する必要があります。
ただし記憶しただけではアウトプットできないので記憶に対する関連性、アウトプットするためのトリガー(引き金)が必要になります。
具体的な例を上げて記憶の連呼とトリガーを説明しましょう。
たとえばクライアントとの会議。
訪問したクライアント先で会議をするメンバーが5~6人いるということは珍しいことではありません。
名刺交換する時、一度に5~6枚渡されて同時に顔を覚えろというのは大変、困難なことです。
名刺交換の段階では超短期記憶しか働かないので、名前を留めておくだけでも4秒間、さらに名前と顔の一致はわずか1秒間程度しかないのですから。
しかも会議であれば仕事のことが頭の中で優先されているので覚える余裕もありません。
こんな状況下でも冷静に、すべて相手の名前と顔を覚える方法があります。
それは手続き記憶と関連させること。
なんでも構いません。
朝、起きてから顔を洗い、歯を磨き、パジャマを脱ぎ、食卓につき、新聞を読む、というルーティンだけで6手順があります。
最初に名刺を渡された人は朝、起きるという手順に関連付け、次の人は顔を洗う、次の人は歯を磨く、というように。
あるいは通勤電車の駅の順でも構いません。
最初の人は搭乗駅、次の人は東城駅の次に止まる駅、というように。
関連付けを行うことによって超短期記憶から短期記憶へと領域が変化するので、少なくとも会議中は相手の名前と顔を一致させることができるはずです。