ところで、厄年に降りかかる可能性が大きくなる災厄とはどのようなことでしょう?
離婚だとか会社から解雇されるとか、食中毒とか物を盗まれるとか、確かにこれらも災いではありますが、本来の厄とは異なります。
厄、とは厄病神という言葉からも分かるように疫病を主に指します。
厄病神は疫病神とも表記されていたのが平安時代のこと。
この時代、医療は民族信仰に頼っていた部分もあり、流行病や治療不可能な重病はいわゆる物の怪(もののけ)、怨霊、悪鬼といった目に見えない存在によって操られていると思われていました。
日本神話の神々には本来、キリスト教やユダヤ教など一神教における悪魔的存在のような絶対悪の神はいませんが、厄病神が人々の間で流布されるようになったのは中国の疫病を引き起こして民衆を苦しめる疫鬼(えきき)の影響といわれています。
江戸時代の随筆「宮川舎漫筆」には「毎月3日に小豆の粥を作ると家に厄病神が入らない」と記述されていますが、この方法そのものが疫鬼を避けるための手段でした。
なぜ小豆の粥が厄病神を避けることができるのか、って?
その理由はよく分かりませんし、実際に小豆の粥が効果的であるかも分かっていません。
一度、ドラキュラにお会いしたら、なぜニンニクが嫌いなのかお聞きになってみればいいでしょう。
ドラキュラも疫鬼もたいして違わない理由を述べるはずですから。