窮鼠猫を噛む。これもよく聞く言葉です。
猫に追い詰められたネズミは逆に猫を噛むことから、弱い立場でも追い込まれると強い立場に反撃して痛手を負わせることがあるという喩えですね。
やはり完全にアドレナリン全開状態にならないと起こりえない現象です。
闘争か逃走か。
二者択一のうち、その逃走ができなくなれば闘争しかありません。
捕食動物は捕食される側より絶対的な有利を持っているように感じられますが、実際、捕食する側が簡単に捕食される側を倒すというような状況はなく、捕食される側が捕食する側を攻撃して撃退することは自然界のなかでよくあることなのです。
ホオジロザメとオットセイ、アフリカライオンとシマウマ、オリノコワニとバッファロー、これらの関係はけっして一方的なものではありません。
捕食する側は海の底から、茂みの中から、川辺の縁から奇襲攻撃をかけ、しかも弱った種や子供を狙うのが定石です。
アドレナリンが大量に分泌すると筋肉機能が増強し、痛みを麻痺させることもできるので捕食される側でも反撃できるわけですね。
窮鼠猫を噛む、という事例を人間の世界では喩え話にしていますが、自然界においては常識的なことであり、かつて人間がそうであったようにアドレナリン分泌作用が生命維持に大きな影響を及ぼしているのです。