スポーツの世界では、むしろアドレナリンを出すことこそ結果につながると考えられています。
相撲の立会前に顔をパンパンと叩く行為、ハンマー投げの瞬間に大声を出すこと、野球の円陣、これらはすべてアドレナリン分泌に影響しています。
アドレナリンを分泌させることによって集中力、攻撃性、運動能力が高まり、それまで練習で培ってきた総合力の発揮へつなげることはできるのです。
その際たるスポーツがボクシング。
ギリシャでオリンピックが誕生して以来、けっして途切れることなく続けられているスポーツにアドレナリンの分泌は欠かせません。
言葉は悪いのですが、ルールに則った上で相手に拳を当て、倒す競技です。
生命維持のための防御を本能的に働かせつつ、闘争本能も高めなければなりません。
日常的な状況でボクサーが放ったパンチを受ければ常人でなくとも失神間違いなしですが、試合中は多少パンチを受けてもアドレナリンが身体の痛みを麻痺させているので耐えることができます。
ボクシングで勝つということは、相手の闘争本能を断ち切ること。
身体的なダメージの積み重ねで立ち上がれなくするか、闘争という意識を刈り取って逃走の意識を芽生えさせなければ勝ったことにはなりません。
Fight or flight、闘争か逃走か。
まさに究極の選択を迫られるスポーツなのです。