ノルアドレナリンが交感神経内で生成されるのに対して、アドレナリンが副腎髄質でしか分泌されないのは、ノルアドレナリンをアドレナリンに変える酵素が副腎髄質内にしかないからだと言われています。
さて、ノルアドレナリンがアドレナリンに変化することは分かりましたが、今度はノルアドレナリンがどうやって作られるのか、という疑問が残りますね。
そこで登場するのがドーパミンです。
警戒すべき相手が登場した時、視床下部から交感神経に神経伝達物質を発射、その神経伝達物質がノルアドレナリンに変化するのですが、この視床下部から出る伝達物質こそドーパミンなのです。
これでお分かりのように、順序としては始めにドーパミンありきで、次にノルアドレナリン、最後にアドレナリンとなります。
このドーパミン、元は食物に含まれるフェニルアラニンやチロシンというアミノ酸から作られており、生成する場所は脳内の神経細胞で、脳の深い部分にあるA9とナンバリングされた黒質緻密部、A10と呼ばれる腹側被蓋野で作られています。
A9やA10の神経細胞(ニューロン)には長い突起(軸索)がいくつも出ており、それらは大脳皮質、とくに前頭前野や帯状回など行動に重要な部分に枝を伸ばしています。
その突起から放出されたドーパミンは大脳皮質の神経細胞にあるドーパミン受容体によって受け取られ、行動体系の学習に役立てているのです。
ドーパミンは長らくノルアドレナリンの前駆体としか考えられていませんでした。
しかし、その後の研究によって運動の制御に大きく関わる脳の神経伝達物質であることが分かったのです。