フロイトやユングは精神分析学者、心理学者という医師の面を持つ一方で、広義には哲学者として捉えられている面もあります。
また現代医学においては、『無意識』と『夢判断』は評価されているのもの、実際の精神的な治療の現場ではほとんど使われておらず、投薬による治療が主となっています。
その理由は『無意識』や『夢判断』から導かれる答えは理論者の独断的な判断(独裁的とも言われています)によるもので科学的立証がなく、患者に対する有効性が確立されていると言えないからです。
「あなたの前世は西洋のお姫様だったので、ぜいたくな暮らしが身についているのです」
みたいなことを言われても誰も立証できないのと同じですね。
もちろん精神分析という概念は医学のみならず哲学や思想、芸術に大きな影響を与えており、その偉業には揺るぎないものがあります。
しかし、実態のない概念だからこそ、解釈によってどのようにも使えてしまうのが怖いところ。
フロイトは医学に宗教を持込みませんでしたが、マーフィー氏は遠慮なく宗教とフロイトの『無意識』『夢判断』を取り込みました。
もっとも、西洋哲学は大本においてキリスト教が根底にあるのでマーフィー氏の着眼点はけっして間違ったものではなく、だからこそキリスト教圏では日本以上にベストセラーになっているのでしょう。