「マーフィーの法則」は知的産業従事者にとって魅力的な経験則なので、ロバート・マシューズ科学者のようにユーモアのある研究材料にもなっています。
ところでロバート・マシューズが受賞したイグノーベル賞について、少しご紹介しましょう。
ノーベル賞はダイナマイトを発明して巨万の冨を築いたアルフレッド・ノーベルの遺言によって創立された賞ですが、イグノーベル賞を企画運営しているのはアメリカのサイエンス・ユーモア雑誌である「風変わりな研究の年報」で、共同スポンサーにハーバード・ラドクリフSF協会やハーバード・コンピューター協会などが名を連ねています。
平和賞や物理学賞など10の部門があり、それぞれの賞を個人やグループに授与しますが、けっしてロバート・マシューズのように笑わせるだけでなく、「そして考えさせてくれる研究」にも授与していることが特徴です。
たとえば、エドワード・テラーはアメリカの「水爆の父」として知られていますが1991年、「我々の知る『平和』の意味を変えることに生涯に渡って努力した、として平和賞を与えていますし、1999年には進化論教育を規制しようとしたカンザス州とコロラド州の教育委員会に科学教育賞を授与しています。
正義の鉈を大上段に構える批判の仕方も大切なんでしょうけれど、こういったウィットのあるアイロニーの方法があることも知っておきたいところですね。