「マーフィーの法則」における経験則は端緒が至極、真面目な技術研究から生まれているだけに機知に富んだ内容となっており、この経験則からユーモラスな法則や実験が派生しています。
“The bread never falls but on its buttered side.”
パンを落とすと必ずバターがついている面が下になる、というのも「マーフィーの法則」のなかの代表的な経験則であり、これはイギリス北西部ランカシャー地方の諺でもあるのですが、この経験則と猫は常に足を下にして着地するという経験則を組み合わせたのが「バター猫のパラドックス」です。
両方の経験則が正しいと仮定した場合、バターを塗った面を上にしたパンを猫の背中にくくりつけ、ある一定の高さから猫を落としたらどうなるのか、というパラドックスですね。
この結論は落下と同時に速度が落ち、猫の足が着地しようとするとバター面が先に落下しようと回転、するとまた猫の足が着地するために回転を行い、地面から少し浮いたところで永久に回転運動が続けられるという反重力の安定状態が正解です。
あり得ませんね。
それでも、こんなパラドックスを考えることにユーモアのセンスを感じさせます。
永久回転運動は外部からのエネルギーを必要とするけれど、それすらも大気や太陽から熱を取り出して運動エネルギーに変換すれば理論上は不可能ではない、なんて真面目(だか不真面目だか)に言う人まで表れているんですから。