メガネに出っ歯に胸へぶら下げたカメラ

時はさかのぼって20~30年前のバブル景気前後、日本人旅行者の話。

日本には「旅の恥はかき捨て」なんて便利な諺があります。

遠くに行けば知人もいないし、長く留まることもないから恥ずかしいことをしてもその場限りのこと、という意味ですね。

でもこれは日本国内の文化。

違う文化圏では通用しませんし、そも、恥ずかしいことをわざわざする必要もありません。

最近はほとんど見なくなりましたが、バブル景気前後の頃の先進国風刺画を見ると、日本人は必ずメガネをして出っ歯で、首からカメラをぶら下げていました。

団体行動ではぐれないように目印をつけ、ガイドが説明する方向へ一斉に視線を送るとカメラで撮り出す日本人が均一的で奇異に見られていた証拠でしょう。

筆者も海外で知り合ったアメリカ人と食事をしている時、日本人団体客が皿を持って一列に並んでいる姿がありました。

アメリカ人「彼らはant’s(蟻たち)だね」と筆者に嘲笑を向けたことがあります。

もちろん、筆者は意地悪く「俺も彼らと同じ日本人なんだけれど」と言いましたが、そのアメリカ人たちのバツの悪そうな顔は今でもよく覚えています。

今では世界各国で日本人旅行者は好意的に思われています。

パリではむしろ、大声で叫ぶアメリカ人よりも日本人の方がずっと好意的に受け入れられています。

これも散々、日本人が海外で恥をかいてきた結果だと思いませんか?

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