やがて絵画は拡散していく

バブル景気によって一時は世界的名画が日本に集まりました。

その一部は今でも日本国内で展示されています。

安田火災が購入したゴッホの「ひまわり」とセザンヌの「りんごとナプキン」は東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館で、オートポリスが購入したボナールの「アンドレ・ボナール嬢の肖像」は愛媛県立美術館で、同じくオートポリス購入のシャガール「村の祭り」は高知県立美術館に収蔵されています。

しかし安田火災はバブル景気崩壊後、業界首位の東京海上火災保険への対抗心から吸収合併を繰り返して現在は損害保険ジャパン日本興亜という名称に変更、オートポリスは絵画購入からわずか3年後の1992年に倒産、齊藤了英氏は「死んだらゴッホやルノワールは棺桶に入れてもらうつもりだ」と言って世界中から文化度の低さを猛烈に批判されましたが、1996年に死去、絵画と一緒に暮らせたのはわずか10年の間でした。

集まった絵画はまた世界中へと拡散していきました。

中にはどういった経路でどの国、または個人に売却されたのか不明の絵画もあります。

拡散していった絵画の価格は落札、購入時のおよそ半額程度。

そして名画は再びオークションにかけられ、バブル景気に湧く国で富を得た者が高値で買い取っていくのです。

もっとも分かりやすいバブル経済の象徴ですね。

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