文化的側面で正の遺産を残してきたバブル景気ですが、残念なことに負の側面も残しています。
それが絵画投資ですね。
1987年、当時の安田火災海上保険(現在は損保ジャパン)はゴッホが描いた向日葵7点のうち、5作品目に当たる「ひまわり」を3992万1750ドル(当時のレートで約58億円)で購入しました。
オークション価格としては類を見ない高額で、相場の倍以上と言われています。
続いてF-1のスポンサードも行ったサーキット運営会社「オートポリス」がピカソの青の時代に描いた「ピエレットの婚礼」を89年に75億円で落札(この落札は当時、オートポリスの社長がサーキット開催の祝典を全日空ホテルで行い、そのパーティの最中にパリのオークションと衛星生中継で結んで落札したという、バブルの極みのような派手さが今でも語り草となっています)。
さらに大昭和製紙のワンマン会長、故・齊藤了英氏がゴッホの「医師ガジェの肖像」を120億円、ルノワールの「ムーラン・ド・ギャレット」を136億円で購入したことが世界中で大きな反響を起こしました。
これらほど目立ってはいませんが、他にも三越がピカソの「軽業師と若い道化師」を50億円で、金融会社のレイクはモネの「ヴェトュイエの庭」を8億円で、商社のイトマンはワイエスの「レヴィン・コレクション」を100億円で購入しています。
これら絵画購入のどこに問題があるのか、次章で説明しましょう。