バブル景気の時に発足したアメリカズカップ・シンジケートのメセナ活動は企業広告の意味合いも強かったので、景気縮小と同時に消滅してしまいましたが、その後も企業におけるメセナ活動は地道に、もっと一般的な人たちに密着した本来の形で継続されています。
このメセナ活動を支援する形で作られたのが純民間団体である公益社団法人の企業メセナ協議会で、1990年、バブル景気崩壊後に誕生しました。
「即効的な販売促進・広告宣伝効果を求めるのではなく、社会貢献の一環として行う芸術文化の支援」をメセナの定義とし、メセナ活動を行う企業の紹介やパイプ役、さらに企業が個別に行ってきた文化事業に対して個々の利害を超えた立場で支援していくという取り組みを行っています。
企業が文化活動を支援するという取り組み、じつはフランスやドイツ、アメリカなどでは当たり前のように行われており、それらを支援する団体も古くから存在しています。
フランスにはADMICAL(商工業メセナ推進協議会)、アメリカにはBCA(芸術支援企業委員会)、ドイツやイギリスにも同じような民間団体の組織があります。
文化支援は本来、国家的規模で行われるものですが、日本は今のところ、先進国と呼ばれる国々の中における文化支援は後発というのが現状です。
日本に企業メセナ協議会が生まれたこともバブル景気の正の遺産のひとつ、といえるでしょう。