「風水トリビア」カテゴリーアーカイブ

風水の起源は「卜宅」から

風水が日本へ伝来された話は後述するとして、その前に風水の歴史について説明しましょう。

風水の完成は中国の明時代(1368~1644年)とされているので、その歴史から見るとかなり遅いと言えます。

前述したように、風水は巒頭(地形を見る占術)から始まり、理気(目に見えない要素の占術)が加わって、その方法論が発達、流派が生じてそれぞれの式盤が作られた年月を考えると、完成まで長い時間を要したことも理解できるでしょう。

風水の起源は殷の時代(紀元前17世紀頃~紀元前1046年)、当時の「卜宅」とされています。 続きを読む 風水の起源は「卜宅」から

風水界のスーパースターは郭璞

風水に限らず、占術はすべからく予言を実現させるスーパースターの登場によって世に流布されていきます。

西洋占星術では数学や天文学に多大な貢献を残した古代ローマの学者、クラウディオス・プトレマイオスがそうであったように、風水にも西普・東普(265~420年)の時代に郭璞(かくぼく)が登場しました。

河東間喜(現在の山西省)の寒門の生まれ(要するに貧乏な家ですね)ましたが、幼少の頃から勉学に勤しみ、五行・天文・卜筮(ぼくぜい・占術の意味)に秀でて、その才能は三国志に出てくる占術師、管輅(かんろ)をしのぐほどと言われました。 続きを読む 風水界のスーパースターは郭璞

三国志で風水師として活躍したのは管輅

中国西普・東普以前の三国時代は魏の曹操、蜀の玄徳、呉の孫権によって繰り広げられた戦乱の世で、これまでに三国時代を題材にした物語が多く生まれているので、部分的に知っている人も少なくないでしょう。

三国時代に占術師として業績を残したのが、郭璞の章にも出てきた管輅(かんろ)で、史書の三国志にも記述が残されています。

三国志では管輅が多くの武将の生死を予言したことで占術師としての高い評価を得ていますが、ここではその後の戯曲に使われたエピソードを紹介しましょう。

管輅はある日、19歳になる趙顔という若者の顔を見て、あと数日の命であることを告げます。 続きを読む 三国志で風水師として活躍したのは管輅

帝都物語は風水を大々的に取り上げた小説

コミックの話題が出たところで、風水が登場する物語の一部を紹介しますね。

風水が登場する物語で、日本でもっとも有名なのが1985年に発表された荒俣宏氏によるSF小説、「帝都物語」でしょう。

帝都壊滅を目論む魔人の大日本陸軍将校・加藤保憲とそれを阻止しようとする人々の活躍を描いた作品で、物語は明治末期から昭和73年まで続く大作です。

この魔人・加藤保憲は風水に詳しく、大地を巡る龍脈を操作して大地震・関東大震災を引き起こすほどの魔力を持っています。 続きを読む 帝都物語は風水を大々的に取り上げた小説

カウボーイ・ビバップに登場する宇宙風水

風水の根底には儒教があるので、韓国の歴史ドラマにも風水はよく出てきます。

その代表的なのが「大風水」。

朝鮮王朝樹立を風水の視点から描くという壮大なテーマでしたが、TVドラマとしての質が悪く、酷評されていたので、ここではそんな物語がありました、という程度に止めておきましょう。

大人向けのアニメで、現在もコアなファンが多い隠れた名作、「カウボーイ・ビバップ」の第21話、「ブギ・ウギ・フンシェイ」はメイファという宇宙風水師の弟子と主人公の1人、ジェットの物語でした。 続きを読む カウボーイ・ビバップに登場する宇宙風水

魑魅魍魎と戦う陰陽師

夢枕獏氏の伝奇小説「陰陽師」は主人公が六壬神課を習得した安倍晴明が主人公ですが、小説やその後に映画化、またはドラマ化された内容では風水師というより、タイトル通り陰陽師として描かれています。

この辺りが中国や韓国、台湾などの風水と日本の陰陽五行の違いでしょう。

小説「陰陽師」は平安の都、京を闊歩する魑魅魍魎と安倍晴明が戦うというストーリーものなので、興味のある人はぜひお読みください。

ここではそろそろ、風水が日本に伝来された時の話に戻しましょう。

風水が完成したのは前述したように明の時代(1368年~1644年)と比較的新しいのですが、すでに5~6世紀の奈良・飛鳥時代には中国からの僧によって占術の一部、とくに六壬神課が入ってきており、これを基本として陰陽道が発達、中国の風水とは異なった占術が発達していきました。 続きを読む 魑魅魍魎と戦う陰陽師

日本の家には鬼門がある?

風水の盛んな国では龍脈を妨げる建築物は生活に貧することになるので、必ず龍脈を保った建築設計を行いますが、日本の家相には風水にない鬼門があり、その方角には人が出入りする玄関、水回りの風呂や洗面所を配置しない風習が今でも強く残っています。

鬼門は良(うしとら:丑と寅の間)の方位のことで、良の正反対の方向、坤(ひつじさる)も裏鬼門と呼ばれ、同様に忌み嫌われる方位となっています。

方位を凶とするのは風水の基本である巒頭と同じですが、風水はこれに理気を加えることによって占われる本人の方位は自在に変わることに対し、鬼門は日本中、どこでも同じ方位であり、方位から鬼門とする点が風水ではなく陰陽道といえるでしょう。 続きを読む 日本の家には鬼門がある?

説得力に欠ける家相

現代でも家を建てる時に家相を気にする人は多くいるでしょう。

ただし現代の家相は鬼門でも分かるように方位を重視した陰陽五行説が基本となっており、風水とはまったく別物であることを覚えておいてください。

もちろん、どちらの占術を取るか、本人の自由ですし、どちらが本当の災いをお祓いする効果があるか、まったく未知数であることは言うまでもないことです。

感覚的に言えば、日本人の家であれば中国の風水と融合しながらも独自の発展を遂げた家相の方が日本人にぴったり合うような気がします。 続きを読む 説得力に欠ける家相

陰と陽が互いに影響を及ぼすという思想

陰陽道は日本で独自に発達した占術ですが、その基本となった陰陽も五行説も、どちらも発祥は中国です。

とくに陰陽は風水でも基本、基盤となっており、アジアにおける占術の基礎ともいえる思想でしょう。

陰陽思想は森羅万象のすべては陰と陽から成り立っており、それぞれは互いに影響を及ぼす「気」を持っている、という考え方。

世界の原初は混沌に始まり、やがて混沌の中から光に満ちて明るく、清澄な気が上昇して陽の気となり、重く濁った、暗い気が下降して陰の気になる、すなわち陽の気が天を作り、陰の気が地を作ったとされ、この2つの相互作用を理解することによって万物の事象を知り、将来の予想も行うのが陰陽思想です。 続きを読む 陰と陽が互いに影響を及ぼすという思想

陰陽思想を現代に当てはめると

アジアにおけるすべての占術の基礎となっている陰陽思想はシンプルであるがゆえ、現代にも十分、適用可能になっています。

もっとも分かりやすくダイエットを例に取って解説しましょう。

体重が増えすぎている状態は、身体が緩んでいることなので陰となります。

身体を締める、つまり陽を取り入れて身体の調和を目指すためにダイエットを行うわけですが、その時に栄養価の少ないレタスなどのサラダだけを食べると陰だけを取り入れることになって身体の調和が保てません。

レタスや白菜など、早く成長する柔らかい野菜は陰であり、また、それを冷たいまま食べるのでさらに陰を増長させることになります。 続きを読む 陰陽思想を現代に当てはめると

陰陽思想から発展した易経

森羅万象に通ずる陰陽思想は、その万有性から占術に応用されるようになりました。

それが易経です。

易経では卦と呼ばれる方法で占術を行います。

爻(こう)と呼ばれる棒には「─」と「- -」の記号が書かれており、「─」は陽、「- -」は陰で、陽爻と陰爻を3つ重ねて八卦、八卦を2つ重ねた64卦は森羅万象を表し、陽爻と陰爻の組み合わせによって予言を行います。

日本では「当たるも八卦、当たらぬも八卦」でよく知られる占術ですね。 続きを読む 陰陽思想から発展した易経

五行説もまた陰陽思想から

五行説は木・火・土・金・水の要素で構成されていますが、これは物質を表わしているのではなく、森羅万象を抽象化して5分類に当てはめています。

●木行:木は樹に通じますが、樹木の成長や発育する様子を表し、春の象徴とされています。

●火行:火は炎に通じ、明るく輝く様子を表わしていると同時に灼然の性格も持っています。夏の象徴です。

●土行:土は土地に通じており、植物が地中から発芽する状況が元になっています。万物を育成し、保護することを表わしており、季節は変わり目の象徴となっています。

●金行:金は地中に光輝く鉱物に通じており、金属の持つ堅固、確実、冷徹などを表わしています。季節は収穫の秋を象徴しています。 続きを読む 五行説もまた陰陽思想から