「趣味人倶楽部」カテゴリーアーカイブ

特許を自分で出す人、プロに頼む人〔その1〕!特許のプロを味方につける

■経費節減のため自らが出願することもあるが・・・

「え、特許って、自分で書いてもいいの?」ご承知のように、特許は発明者自らが作成して、また出願してもよいのですが、いまでも多くの人は「特許は専門家が書くもの」と思い込んでいるようです。

それどころか、意外にも技術系の人であっても、特許を自ら作成して出せる、ということを知らない人がいます。冒頭の「え?」と言った人も、そのときIBMの技術系の職員だったのです。

それはさておき、ともかく自分で作成・出願ともできるわけですが、企業の多くは会社内で開発した発明はすべて、顧問契約を結んでいる特許事務所などに依頼しているしだいなのです。

一方、小さな会社や個人などでは、ある発明による開発を手掛けようとするとき、その開発費に相当な負担がかかります。そこで、少しでも経費を節減するために、専門家に依頼しないで、特許(出願書類)を自分で書き上げ、それを出願しようとする傾向にもあります。 続きを読む 特許を自分で出す人、プロに頼む人〔その1〕!特許のプロを味方につける

特許を自分で出す人、プロに頼む人〔その2〕!特許のプロを味方につける

■素人の「生兵法は怪我のもと」か?

たしかに、誰が書いても、作成した特許願を特許庁へ提出しさえすれば、その日が「出願日」として確定されます。

ところが、「出願日の確定」ばかりを重視して(急ぐあまり)、書式的にも内容的にも稚拙なまま出願してしまうと、案の定、後日特許庁から、提出した特許願の「補正命令」が届くことにもなるでしょう。

そうなると、こんどはそれに対する「補正書」を書いたり、他にも見つかった不備な箇所を訂正する書類を作成したりと、多くの手間と余計な時間を取られることになります。また、他にも特許庁とは(その後も)、いろいろな書類のやりとりがあるのです。 続きを読む 特許を自分で出す人、プロに頼む人〔その2〕!特許のプロを味方につける

特許を自分で出す人、プロに頼む人〔その3〕!特許のプロを味方につける

■要は、ケース・バイ・ケース

前頁でも述べたようなことから、特許の出願書類の作成と出願はすべて、専門家に任せるべきだ、という根強い意見があります。

一方で、個人の発明家は、経費を節減するためにも、そして特許の手続きに慣れておくためにも、自らが作成し、出願するべきだ、という意見もあります。

とくに、幾つもの発明・考案を控えていて、それらを次々に製品化していくことを考えているような、個人発明家やパパママ会社などでは、その特許出願に掛ける経費もバカにできません。「とてもじゃないけど、それら一つ一つを専門家に依頼できる余裕はない!」というわけです。

どちらの側の意見も、そう唱える主張の一面には、一理あるかと思います。要は、ケース・バイ・ケースなのでしょう。 続きを読む 特許を自分で出す人、プロに頼む人〔その3〕!特許のプロを味方につける

個人の「自己出願」について」〔その1〕!特許を自分で出願する

■「失敗例」と「成功例」の両方から学ぶことで見えてくるもの

「リスクはあっても、出願するまでを一通り、一度くらいは自分でやってみたい」そのように考えている人も多くいます。

自分で特許を出願して、その結果、発明の権利化が危うくなった、あるいはダメになってしまった、という「失敗例」も、これまで見てきたように、少なからずあります。

しかしながら、たしかに一度くらい、自分で作成し、出願してみるのも勉強になって、よいのではないかと思います。

「発明の権利(特許)を得たい」というより、むしろ「特許願の作成と出願を自分でやってみたい」というほうが、強い動機になっている人もいるわけです。 続きを読む 個人の「自己出願」について」〔その1〕!特許を自分で出願する

個人の「自己出願」について〔その2〕!特許を自分で出願する

■それなりの覚悟が必要な「自己出願」

自分で特許願の作成とその出願をやり遂げたとします。問題は、その先に待ち受けている、いろいろな手続きも自分で行うかどうか、です。

「その先のことも全部、もちろん自分でやるよ」という人もいるでしょう。あるいは、出願という目的を果たしたから(勉強のために?)、後のことは適当に考えている、という人もいます。人それぞれですので、それはそれでいいのですが・・・。

気を付けなければならないのは、特許出願が済んだといっても、その後、特許庁とやりとりする書類は期限付きのことが多いので、うっかり忘れたら最後、元も子もなくなってしまう、ということです。

「30日以内に送付のこと」といったように、送付に期限が付けられていることが多いのです。それに、出願から3年以内に「出願審査請求」を済ませておかないと、その発明は却下されたものと見做されてしまうのです。 続きを読む 個人の「自己出願」について〔その2〕!特許を自分で出願する

個人の「自己出願」について〔その3〕!特許を自分で出願する

■「平」は「平」でも・・・

初めて自分で出願した人が、その後に特許庁から届いた書類の中に、「自分の特許願」に対して与えられた番号が「平2-345・・・」などと打ってあるのを見て、次のように言ったといいます。

「平2-345・・・」?「平」(へい)ってことは、「甲乙平」の評価の中で一番悪いということじゃないか!やっぱり、素人が作成して出したのがまずかったかぁ~・・・。

もちろん、これは勘違いです。「平」(へい)というのは、「平成」の頭文字なのです。平成に出したから、「平」というわけです。それにしても、落語の中に出てくるような話です。(但し、現在では「特願2004‐○○○・・」といった表記法になっています) 続きを読む 個人の「自己出願」について〔その3〕!特許を自分で出願する

特許請求の範囲について〔その1〕!特許を自分で出願する

ここから先は、本書でたびたび話題になっている【特許請求の範囲】について、少しばかり触れておこうと思います。

自己出願をするにしても、特許事務所に出願を依頼するにしても、出願人本人がその重要性を知っていることが大事だと思うからです。(見直しの際にも、ある程度の知識は必要)

【特許請求の範囲】の【請求項】の欄に記載される内容は、出願書類のなかでも一番重要な部分だといえます。なぜなら、ここで、この発明が保護されるべき「権利の範囲」が明らかにされるからです。

その権利範囲とは「特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項」そのものなので、とても重要というわけです。 続きを読む 特許請求の範囲について〔その1〕!特許を自分で出願する

特許請求の範囲について〔その2〕!特許を自分で出願する

【特許請求の範囲】は、発明のもっとも大事な権利範囲を定める箇所であると述べました。そのため、【請求項】には、「できるだけ広い意味をもつ用語や表現を用いることがポイントになる」とも述べました。こんどは、これについて考えていきましょう。

たとえば、【請求項】に、「酸」と書いた場合、これは「塩酸」や「硫酸」、また「硝酸」なども含めた表現のため、これらすべての「酸」に範囲が及びます。

それを「塩酸」とか「酢酸」など、限定して書いた場合、たとえ他者が「硝酸」や「硫酸」を用いて、同じ発明の効果を得て、これを実施したとしても、それを「権利侵害」とすることはできないのです。

では、【請求項】には、なるべく広い範囲で有効になる言葉を用いたらよいのか、というと、必ずしもそうとはいいきれません。 続きを読む 特許請求の範囲について〔その2〕!特許を自分で出願する

特許請求の範囲について〔その3〕!特許を自分で出願する

昭和31年3月31日まで施行されていた旧法の「特許法施行規則」では、【特許請求の範囲】の記載について、「特許請求ノ範囲ニハ発明の構成ニ欠クヘカラサル事項ノミヲ一項ニ記載スヘシ・・・」のように規定されていました。

そのため、文章の途中に句点(。)は挿入できず、長い文章になってでも、切れ目のない1つの文章にすることが、もっとも望ましい書き方とされていたようです。

極端な場合には、それこそ数ページにもわたって、ダラダラと切れ目なく続く、長い【特許請求の範囲】などもあったといいます。

その話を聞いたとき、以前読んだことのある、特許技術文章のノウハウについて記した、ある本のことを思い出しました。 続きを読む 特許請求の範囲について〔その3〕!特許を自分で出願する

著作権が保護の対象とする著作物の種類!著作権と商標

まず「知的財産権」とは?

知的財産権とは、簡単にいうと「知恵の財産をまもる権利」ということです。ちょっと前までは、「知的所有権」とも呼ばれていました。このことは前にも少し触れてあります。

この知的財産権(知的所有権)には、大きく分類して、「産業財産権」と「著作権」とがあります。(「産業財産権」は、以前の「工業所有権」と同じ意味です)

産業財産権のほうは、前述のように特許権、実用新案権、意匠権、商標権などをまとめており、さらにこれらに商号権が複合したものを指します。(ただし、商号権は商法に属しています) 続きを読む 著作権が保護の対象とする著作物の種類!著作権と商標

「著作者人格権」と「二次的著作権」について!著作権と商標

ひと口に「著作権」と言っても、その中には、「複製権」「上演権ならびに演奏権」「放送権や有線送信権等」「口述権」「展示権」「上映権および頒布権」「貸与権」「翻訳権・編曲権・変形権・翻案権」、それに「二次的著作物の利用に関する原作者の権利」など、実に多くの種類があります。

利用形態としては、以上の9種類となります。著作権では、それだけの権利が保障されているのです。

これらの著作権を、第三者が使用するためには、その使用のための許可と使用料を必要とします。つまり、著作権をもっている人にとっては、これらの権利は財産ともなる権利なので、総称して「著作財産権」とも呼ばれているのです。

著作権にはもう一つ、著作者の人格をまもる「著作者人格権」というものがあります。これは、著作者本人が著作したものの扱いをどうするか決める権利です。以下に、この「著作者人格権」を表にして示しておきます。 続きを読む 「著作者人格権」と「二次的著作権」について!著作権と商標

同一の著作物が独立に創作された場合は、それぞれに著作権が発生する!著作権と商標

「著作権」というのは、なにかを創作した時点で自動的に権利が発生するものです。つまり、どこかに届けることなく、権利が発生するものなのです。

ある著作物がひじょうに優れたもので、多くの人がそれを手に入れたいと考えているとしましょう。

その場合、著作物を創作した人は、その著作物の権利をもった著作権者となるので、当然のことながら、第三者からそれが使用(利用)されるたびに、膨大な著作権料(使用料)が入ることになります。つまり、儲かるというわけです。

それが小説や絵画でも、または歌詞や彫刻、映画であっても、同様です。ところで、自分の著作物と同じようにも見える(かなり似ている)作品が、偶然に他人によって作られていた場合、その権利はどうなるのでしょうか。 続きを読む 同一の著作物が独立に創作された場合は、それぞれに著作権が発生する!著作権と商標