「発明アイデア教室」カテゴリーアーカイブ

個人の「自己出願」について〔その2〕!特許を自分で出願する

■それなりの覚悟が必要な「自己出願」

自分で特許願の作成とその出願をやり遂げたとします。問題は、その先に待ち受けている、いろいろな手続きも自分で行うかどうか、です。

「その先のことも全部、もちろん自分でやるよ」という人もいるでしょう。あるいは、出願という目的を果たしたから(勉強のために?)、後のことは適当に考えている、という人もいます。人それぞれですので、それはそれでいいのですが・・・。

気を付けなければならないのは、特許出願が済んだといっても、その後、特許庁とやりとりする書類は期限付きのことが多いので、うっかり忘れたら最後、元も子もなくなってしまう、ということです。

「30日以内に送付のこと」といったように、送付に期限が付けられていることが多いのです。それに、出願から3年以内に「出願審査請求」を済ませておかないと、その発明は却下されたものと見做されてしまうのです。 続きを読む 個人の「自己出願」について〔その2〕!特許を自分で出願する

個人の「自己出願」について〔その3〕!特許を自分で出願する

■「平」は「平」でも・・・

初めて自分で出願した人が、その後に特許庁から届いた書類の中に、「自分の特許願」に対して与えられた番号が「平2-345・・・」などと打ってあるのを見て、次のように言ったといいます。

「平2-345・・・」?「平」(へい)ってことは、「甲乙平」の評価の中で一番悪いということじゃないか!やっぱり、素人が作成して出したのがまずかったかぁ~・・・。

もちろん、これは勘違いです。「平」(へい)というのは、「平成」の頭文字なのです。平成に出したから、「平」というわけです。それにしても、落語の中に出てくるような話です。(但し、現在では「特願2004‐○○○・・」といった表記法になっています) 続きを読む 個人の「自己出願」について〔その3〕!特許を自分で出願する

特許請求の範囲について〔その1〕!特許を自分で出願する

ここから先は、本書でたびたび話題になっている【特許請求の範囲】について、少しばかり触れておこうと思います。

自己出願をするにしても、特許事務所に出願を依頼するにしても、出願人本人がその重要性を知っていることが大事だと思うからです。(見直しの際にも、ある程度の知識は必要)

【特許請求の範囲】の【請求項】の欄に記載される内容は、出願書類のなかでも一番重要な部分だといえます。なぜなら、ここで、この発明が保護されるべき「権利の範囲」が明らかにされるからです。

その権利範囲とは「特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項」そのものなので、とても重要というわけです。 続きを読む 特許請求の範囲について〔その1〕!特許を自分で出願する

特許請求の範囲について〔その2〕!特許を自分で出願する

【特許請求の範囲】は、発明のもっとも大事な権利範囲を定める箇所であると述べました。そのため、【請求項】には、「できるだけ広い意味をもつ用語や表現を用いることがポイントになる」とも述べました。こんどは、これについて考えていきましょう。

たとえば、【請求項】に、「酸」と書いた場合、これは「塩酸」や「硫酸」、また「硝酸」なども含めた表現のため、これらすべての「酸」に範囲が及びます。

それを「塩酸」とか「酢酸」など、限定して書いた場合、たとえ他者が「硝酸」や「硫酸」を用いて、同じ発明の効果を得て、これを実施したとしても、それを「権利侵害」とすることはできないのです。

では、【請求項】には、なるべく広い範囲で有効になる言葉を用いたらよいのか、というと、必ずしもそうとはいいきれません。 続きを読む 特許請求の範囲について〔その2〕!特許を自分で出願する

特許請求の範囲について〔その3〕!特許を自分で出願する

昭和31年3月31日まで施行されていた旧法の「特許法施行規則」では、【特許請求の範囲】の記載について、「特許請求ノ範囲ニハ発明の構成ニ欠クヘカラサル事項ノミヲ一項ニ記載スヘシ・・・」のように規定されていました。

そのため、文章の途中に句点(。)は挿入できず、長い文章になってでも、切れ目のない1つの文章にすることが、もっとも望ましい書き方とされていたようです。

極端な場合には、それこそ数ページにもわたって、ダラダラと切れ目なく続く、長い【特許請求の範囲】などもあったといいます。

その話を聞いたとき、以前読んだことのある、特許技術文章のノウハウについて記した、ある本のことを思い出しました。 続きを読む 特許請求の範囲について〔その3〕!特許を自分で出願する

著作権が保護の対象とする著作物の種類!著作権と商標

まず「知的財産権」とは?

知的財産権とは、簡単にいうと「知恵の財産をまもる権利」ということです。ちょっと前までは、「知的所有権」とも呼ばれていました。このことは前にも少し触れてあります。

この知的財産権(知的所有権)には、大きく分類して、「産業財産権」と「著作権」とがあります。(「産業財産権」は、以前の「工業所有権」と同じ意味です)

産業財産権のほうは、前述のように特許権、実用新案権、意匠権、商標権などをまとめており、さらにこれらに商号権が複合したものを指します。(ただし、商号権は商法に属しています) 続きを読む 著作権が保護の対象とする著作物の種類!著作権と商標

「著作者人格権」と「二次的著作権」について!著作権と商標

ひと口に「著作権」と言っても、その中には、「複製権」「上演権ならびに演奏権」「放送権や有線送信権等」「口述権」「展示権」「上映権および頒布権」「貸与権」「翻訳権・編曲権・変形権・翻案権」、それに「二次的著作物の利用に関する原作者の権利」など、実に多くの種類があります。

利用形態としては、以上の9種類となります。著作権では、それだけの権利が保障されているのです。

これらの著作権を、第三者が使用するためには、その使用のための許可と使用料を必要とします。つまり、著作権をもっている人にとっては、これらの権利は財産ともなる権利なので、総称して「著作財産権」とも呼ばれているのです。

著作権にはもう一つ、著作者の人格をまもる「著作者人格権」というものがあります。これは、著作者本人が著作したものの扱いをどうするか決める権利です。以下に、この「著作者人格権」を表にして示しておきます。 続きを読む 「著作者人格権」と「二次的著作権」について!著作権と商標

同一の著作物が独立に創作された場合は、それぞれに著作権が発生する!著作権と商標

「著作権」というのは、なにかを創作した時点で自動的に権利が発生するものです。つまり、どこかに届けることなく、権利が発生するものなのです。

ある著作物がひじょうに優れたもので、多くの人がそれを手に入れたいと考えているとしましょう。

その場合、著作物を創作した人は、その著作物の権利をもった著作権者となるので、当然のことながら、第三者からそれが使用(利用)されるたびに、膨大な著作権料(使用料)が入ることになります。つまり、儲かるというわけです。

それが小説や絵画でも、または歌詞や彫刻、映画であっても、同様です。ところで、自分の著作物と同じようにも見える(かなり似ている)作品が、偶然に他人によって作られていた場合、その権利はどうなるのでしょうか。 続きを読む 同一の著作物が独立に創作された場合は、それぞれに著作権が発生する!著作権と商標

著作物を創作したことを立証するのは大変?!著作権と商標

産業財産権(工業所有権)の対象とならない創作(著作物)の場合、それには自動的に著作権が発生すると述べました。しかし、著作権が発生するとはいっても、それで創作の著作者であることが立証されるわけではありません。

これに対して、新しい作品の創作を産業財産権(特許、実用新案、意匠、商標など)として出願する場合には、それ自体が創作の事実として立証されうる「明白な書類」として残ります。

また、その書類は官庁に記録としても残り、多くの人にも後日それが認められるのです。

それが、著作物の場合では、ことさら「著作権」という権利を得るため(独占するため)の、出願などの手続きは設けられてはいないのです。当たり前といえば、当たり前のことですが…。 続きを読む 著作物を創作したことを立証するのは大変?!著作権と商標

「著作隣接権」では、著作権とほぼ同様の権利をもらえる!著作権と商標

「著作隣接権」とは、一つの著作権とかかわり、これを展開、普及しようとする人々の間に生じる権利のことをいいます。

より具体的にいうと、「実演家」「レコード製作者」「放送事業者」「有線放送事業者」などの業にかかわる人たちには、著作権そのものではありませんが、著作物を大衆に伝達する重要な役割を果たしていることから、著作権とほぼ同様の権利(著作権に隣接する権利)が与えられているのです。

名作や名曲などの著作物を一般大衆に伝達するには、それを仲介する人が必要となるからです。それで、著作者ではないのですが、著作者と同じように印税が支払われる、というわけなのです。

たとえば、「作詞・作曲をされた歌」を歌うだけの歌手には、その「歌の著作権」はありません。しかし、その歌は、その歌手が歌ったからこそ評判になり、CDも多く売れたということもあるでしょう。 続きを読む 「著作隣接権」では、著作権とほぼ同様の権利をもらえる!著作権と商標

不正競争防止法でいう「不正競争行為」とは?!著作権と商標

「不正競争防止法」の目的

不正競争防止法」の目的とするところは、次の条文で示されています。

「この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」(第1条)

その不正競争防止法でいう「不正競争行為」とは、次のものを指します。 続きを読む 不正競争防止法でいう「不正競争行為」とは?!著作権と商標

特許と著作権を併用するベンチャー企業!著作権と商標

東京のある企業の社長が、特許と著作権を併用して自社技術を保護したことが新聞で報じられたことがありました。

「著作権は特許に比べ権利取得費用が少なく、保護期間が長い上、技術の概念を広範囲にカバーできるため周辺技術を保護できると判断」したということ。

著作権の対象は、新たに開発したシステムの「設計図」の部分。特許も著作権もすでに取得した、と報じられていました。

以下、その記事の中から「技術の保護について記した部分」だけをピックアップして、そのまま引用しておきます。 続きを読む 特許と著作権を併用するベンチャー企業!著作権と商標