「ストレスと付き合う」カテゴリーアーカイブ

ストレスのせいにする前に

今の世の中、「ストレス社会」などと呼ばれているほど、ストレスが身の回りに溢れているように見えます。

学校や会社の人間関係、子育て、体調の変化や加齢による不定愁訴の不安まで、最近は情報の多様化と分散から複雑さが増し、本人がストレスと感じる対象とその内容が本人しか分からず、他の人から見えにくくなってきているのが最近のストレス事情の傾向といえるでしょう。

交流関係を広げるために始めたSNSが逆にストレスの原因になる、などということは以前には見られなかった現象のひとつです。

また社会全体もストレスの枠を拡大し、多用しているのでちょっとした体調不良や精神的不安定をすぐにストレスへ結びつけて解決しようとする傾向も見られます。 続きを読む ストレスのせいにする前に

わけの分からないことを定義に当てはめるのは人間の性?

多くの人は、うまくいかないことやワケのわからないことの原因を定義に当てはめることで納得しようとします。

これは古来、人が知性を芽吹いた時からの習性で、その最たる例が宗教ですね。

かつて、雷は天の神が雷槌を振り下ろしたことから発生すると信じられていました。

今こそ雷は上昇気流と氷粒の静電気によって起きる現象と知られていますが、原因の分からない古代、それは人以外が起こす超常現象として捉えられていました。 続きを読む わけの分からないことを定義に当てはめるのは人間の性?

ストレスは恒常性を保つために不可欠

身の回りに数多くあるストレスと呼ばれている原因をきちんとストレスと認識するためには、ストレスとは何か?という内容をきちんと把握、つまりストレスそのものを知っておく必要があります。

ストレスとは原因ではなく身体的反応です。

もっとも簡単な例を紹介しましょう。

喉が乾いた時、水が飲みたいという気持ちが働きますが、これがストレスです。

喉が乾いている状況がストレスという身体的を引き起こすこと、つまり喉が乾いていることがストレスの要因なので、この要因をストレッサーと言います。 続きを読む ストレスは恒常性を保つために不可欠

社会的ストレスも基本的には恒常性を保つため

前項では生命の恒常性、ホメオスタシスを保つために自律神経系が喉が乾いた、というストレスを発散させる話をしました。

このストレスがなければ体内からどれだけ水分が失われているか本人は分からず、やがて恒常性が失われて生命維持の機能が働かなくなり、死んでしまいます。

お腹が減った、とか眠い、という身体的反応も基本的には恒常性を保つためのストレスであり、これらストレスがなければ水分と同じように生命を維持していくことはできません。

つまりストレスのもっとも根源的な部分には生命の維持があり、生きていくためには必要不可欠な身体的反応でもあるのです。 続きを読む 社会的ストレスも基本的には恒常性を保つため

緊張のドキドキは自己防衛本能から

誰かと喧嘩した時や自分の悪口を陰で言われていると知った時、怒りでドキドキしてきて興奮が収まらない時が誰でもあります。

仕事で失敗、上司やクライアントに怒られた時、同じように怯えからドキドキして震えが収まらない時もあるでしょう。

これらのドキドキ、つまり身体的反応は感情として異なっても自律神経系による恒常性の保持としては同じ反応で、さらに言えば好きな異性を目の前にしてドキドキするのも、じつは同じなのです。

ただし異性に対するドキドキは怒りや震えとは違った本能なので、ここでは怒りや震えについて取り上げましょう。 続きを読む 緊張のドキドキは自己防衛本能から

闘争と逃走を我慢することがストレス

前項では突発的危機状況になると外敵の攻撃に対してFight or Flight、逃走か闘争か、という本能的行動を起こすためにアドレナリンが分泌されることを説明しました。

とはいえ、現代社会では即物的本能で生きていくことは難しいので、怒りや震え、怯えの原因を作った相手に対し、即物的な闘争や逃走は現実的ではありません。

最近、怒りや怯えを感じると直接的行動に出る人が増えてきましたが、こういった人たちほど動物的本能に近い行動体系を持っている可能性が高いといえるでしょう。

直接的行動を起こさないのはさまざまな理由があるからで、その理由のために直接行動を我慢するわけですね。 続きを読む 闘争と逃走を我慢することがストレス

ストレッサーとストレス、プレッシャーの違い

いかにストレスを解消するか、という最終的な命題の前に、ストレスに関する語句の整理を行いましょう。

仕事で失敗し、上司やクライアントに怒られたという事例を例に取ります。

ここでストレスとなるのは、上司やクライアントに怒られたことによって発生した怒りや怯えを我慢する、というのがストレスです。

怒られた、という状況はストレスの要因、つまりストレッサーですね。

ストレッサーがあるから、次に怒られないように仕事をしよう、あるいはまた怒られるかもしれない、という感情を持つことがストレス、と思っている人もいますが、これはストレスでもストレッサーでもなく、精神的重圧、つまりプレッシャーです。 続きを読む ストレッサーとストレス、プレッシャーの違い

逃走も闘争もストレスに対する結果は同じ

前項で説明したプレッシャーとストレッサー、ストレスの違いを別の例で紹介しましょう。

今度は人間関係です。

知り合い仲間の1人が自分の陰口を言っていた、とか、些細なことから喧嘩になった、というのはよくある話ですが、コミュニティの中で喧嘩をすると、必ず誰かがどっちの味方をした、とか信用していたのに誰々が裏切った、だの、とかく精神的な疲労を引き起こすことがよくあります。

これを例に取ると、喧嘩をした、陰口を聞いた、というのがストレッサーであり、そこで起きた怒りという感情を押し殺す、我慢することがストレスであり、知り合いと会いたくない、あるいは仲直りしなければならない、というのがプレッシャーです。 続きを読む 逃走も闘争もストレスに対する結果は同じ

プレッシャーとの非対峙は単なる逃走行為

前項で人間関係におけるストレスの一例をストレッサーに対する行動体系で解決方法のひとつを提示しました。

遡って、同じ方法を仕事例に当てはめてみましょう。

仕事の失敗は単なる状況で、上司やクライアントに怒られるというのがストレッサー、それに対する身体的反応を我慢することがストレス、そして次にまた失敗すれば怒られるというのがプレッシャーですね。

これをストレッサーに対する本能的行動、闘争か逃走に当てはめると、次の仕事を成功させるという行動は、次に失敗したらまた怒られる、失敗できないというプレッシャーがつねにつきまとうので闘争的行動になります。 続きを読む プレッシャーとの非対峙は単なる逃走行為

プレッシャーが引き起こす身体的損傷

ストレス、それを引き起こすストレッサー、さらに行動体系を自分の意思で決定させるためのプレッシャーと3つの要素を整理すれば、ストレスとうまく付き合う方法、ストレスを解消するための方法の基本的原理が見えてきたことでしょう。

ただし、ここで混同しがちなのがストレスを重ねることによる心身の損傷と、プレッシャーと対峙せずに行動を後回しすることによる心身の損傷です。

前者の場合、直接的に心身へ影響が出ます。

もっとも分かりやすいところでは神経性胃炎と俗称される腹部の痛みですね。 続きを読む プレッシャーが引き起こす身体的損傷

これがストレスと上手く付き合うための十ヶ条!

前項まで、ストレスの仕組みについて解説しました。

ここまで記述すると、ストレスに悩む人でもある程度の解決策が見えてくるので、そろそろ十ヶ条を記述しましょう。

1.ストレスの仕組みを知る!

2.ストレスとストレッサー、プレッシャーの違いを理解する!

3.プレッシャーをストレスと混同するな!

4.ストレスの解消法は逃走か闘争か、この本能を利用する!

5.自分の抱えているストレスを理解する! 続きを読む これがストレスと上手く付き合うための十ヶ条!

ストレスで深刻な症状が出た時は本格的な治療を

ここからはストレスを抱えているけれど、日常生活に支障をきたすほど深刻な状況ではない人を前提に記載していきます。

ストレスの種類には強烈なインパクトを持ち、蓄積型ではなく精神的に深いダメージを与えるタイプもあり、1度のストレスがパニック障害や社会不安障害を引き起こすこともあります。

現在、医療でもパニック障害や社会不安障害を即座に治療できる方法はなく、結局のところ、自分自身でストレスを取り除いていく、上手く付き合っていくのが最終的な改善策となりますが、ストレスの種類によっては近親者にも話せない悩みであることも多く、やはり医師との相談、助言が必要になります。 続きを読む ストレスで深刻な症状が出た時は本格的な治療を