炭焼きの安いリプステーキで評判のステーキ屋が六本木にあり、以前、よくそこへ私は人をつれて行ったものである。しかし、ある時を期として、私はぴたりと行くのを止めてしまった。その理由は新しく来たマネジャーの態度にあった。その店は安くて狭いので、いつも客が立てこんでいて、入口で並んで待っている客も少なくなかった。
それで、このマネジャーは、より多くの客をとりたいために、今テーブルに居る客に、何となく早く出て行けがしのそぶりをしたのである。まだ少し残っているアイスクリームの皿をさっさとさげたり、足音あらく床を鳴らして歩いたり、食器類をガシャガシャと音を立てて置き、従業員もそれにならっていた。 続きを読む 「礼儀とサービス」を活用するものに、ツキは訪れる