「猫の不思議」カテゴリーアーカイブ

鍋島化け猫騒動の顛末

鍋島騒動の続きです。

光茂を襲った化け猫を退治したのは小森半右衛門という説の他に、光茂の父である勝茂と龍造寺家の確執の物語があり、粗筋の大半は同じですが、化け猫を退治したのは小森半右衛門ではなく千布本右衛門となっています。

千布家は実存し、菩提寺は佐賀県白石町の秀林寺です。

そして、この秀林寺には猫塚があります。

化け猫を退治した千布本右衛門、鍋島藩の英雄となりましたが、その後、千布家は男子に恵まれず、代々の藩主は養子を迎えていました。 続きを読む 鍋島化け猫騒動の顛末

横浜にある化け『猫の踊場』の地名由来

猫又にしても化け猫にしても、シリアスに怖がらせる怪談ばかりではありません。

人間の言葉を話す猫、人間に化ける猫などもいて、ユニークなのが頭に手ぬぐいを乗せて踊る化け猫の話。

横浜の泉区には踊場という地域名があります。

これ、正式名称ではなく、地名は泉区中田南1丁目となりますが、市営地下鉄の駅名や交差点の名称、バス停などには踊場が使われています。

私、横浜に住んでおり、以前は踊場に近いところで生活していたにも関わらず、ここが化け猫の踊場だったことを知りませんでした。 続きを読む 横浜にある化け『猫の踊場』の地名由来

猫の眼の色は虹彩によるもの

猫が妖怪になりやすいのは夜行性であることに加え、光の具合によって瞳孔が一瞬のうちに大きさを変えてまったく別の表情になることも理由のひとつでしょう。

「猫の目にのように」天気が変わる、といえば、さっきまで雨だったのに急に晴天になった、というように猫の目のたとえは目まぐるしく状況が変わる時に用いられます。

猫の目は人間の目のように白目部分がなく、瞳孔の回りはすべて虹彩で、この虹彩の色が目の色になります。

もちろん人間にも虹彩はあり、瞳孔の周囲の部分が虹彩となりますが、目全体に広がっているわけではありません。 続きを読む 猫の眼の色は虹彩によるもの

猫を可愛らしく撮るなら夜がベスト

猫の目は前述したように、人間の目のような白目(眼球結膜)の部分がほとんどなく、虹彩と瞳孔だけが見えている状態で、瞳孔の大きさを調整するのが虹彩の役割です。

猫の目の瞳孔は人間のように丸く大小するのではなく、縦に細長く開閉します。

明るいところでは線状になり、暗いところでは円状になりますが、縦に開閉する長円瞳孔の方が早く、しかも大きく開くことができるメリットを持っています。

だから一瞬の光の違いで目の瞳孔が変わるわけですね。 続きを読む 猫を可愛らしく撮るなら夜がベスト

キャッツアイとオッドアイ

キャッツアイといえば泥棒三姉妹のコミック、キャッツアイといえば猫目石に現れる光の現象で、猫の瞳孔が閉じた時のような文様が出ることを言います。

キャッツアイ=猫目石ではありません。

猫目石はクリソベリルキャッツアイと呼ぶのが正解です。

キャッツアイ現象は猫目石だけでなく、やはり光の加減で色が変わるアレキサンドライトでも見ることができます。

ただし、キャッツアイ現象が起きる宝石は一気に破格となるので、私は見ることができるだけで所有することはできません。 続きを読む キャッツアイとオッドアイ

招き猫の起源といえば?

話は江戸時代に戻って招き猫の話。

嘉永5年、浅草の花川戸に住んでいた老婆が貧しさのあまり、愛猫を手放してしまいましたが、その猫が夢枕に現れると「自分と同じ姿をした焼き物の人形を作れば福徳を授かります」と告げます。

老婆、その猫の言葉を信じ、浅草周辺で日用品の陶磁器を作っている今戸焼に依頼して浅草神社の鳥居横で販売したところ、大人気を呼びました。

これが招き猫のひとつの期限といわれる今戸焼丸〆猫説。

もうひとつの発祥説は世田谷区にある豪徳寺です。 続きを読む 招き猫の起源といえば?

今戸焼丸〆猫がメジャーになったワケ

続いて招き猫の話。

今戸焼丸〆猫の原型は左右前足のどちらかを上げており、左右に決まりはありませんが、豪徳寺の招福猫児は必ず右前足を上げているという決まりがあります。

豪徳寺説は武士、井伊直孝が関わっていることから、武士は左手を不浄としていたことから右前足を上げるように作られたわけですね。

私は左利きですが、こういう話を聞く度に日本はつくづく、右利き文化の国だな、と痛感いたします。

それに招き猫、手じゃなくて足じゃん、とツッコミも入れたくなります。 続きを読む 今戸焼丸〆猫がメジャーになったワケ

カラフルでグローバルになった招き猫

もうひとつ、招き猫の話。

招き猫といえば三毛猫が圧倒的に多いのですが、じつは黒猫をモデルにした招き猫もあります。

黒猫は夜でも眼が見えるという理由から(しかし、他の猫も夜目は効くのだけれど)魔除けの象徴とされ、黒猫を飼うと労咳(結核)が治るという迷信もありました。

新選組の若き剣の達人、沖田総司もこの迷信を信じた一人で、黒猫を飼ったけれど労咳が治らなかったために、最後は黒猫を斬り殺そうとするシーンが有名ですね。 続きを読む カラフルでグローバルになった招き猫

欧米ではジンクスの象徴的な黒猫

日本では福を呼ぶ黒猫も西洋に行くとむしろ不吉の象徴となります。

アメリカでは黒猫が前をよぎったり、黒猫をまたいだりすると不吉なことが起きる、13日の金曜日に黒猫を見ると悪いことが起きるというジンクスがあります。

このジンクス、日本が欧米化の道をたどると同時に輸入され、日本でも黒猫を不吉と見る一部の人が生まれました。

だいたい、ジンクスなんてものは経験値から生まれるものです。

由来も分からず信じ込むのはその人の悪いクセでしょう。 続きを読む 欧米ではジンクスの象徴的な黒猫

ヨーロッパで行われた魔女狩りの真実

ヨーロッパで行われた魔女狩りは15世紀から16世紀にかけて最盛期を迎えます。

この発端となったのはキリスト教の異端審問会です。

当時、キリスト教の異端とみなされていたワルドー派はアルプス西部地方へ迫害を逃れるために潜伏していましたが、これらの異端の集会が敬虔なカソリック教徒たちにとって脅威と感じられ、妖術を使って悪魔を崇拝する集団とみなされたことから異端審問会が魔女裁判を行なって、敬虔なカソリック教徒を安心させました。

しかしワルドー派は原始教会への回帰を基本理念としており、当時のカソリック教会は蓄財に勤しんでいたことから異端として扱ったという説があります。 続きを読む ヨーロッパで行われた魔女狩りの真実

黒猫がジンクスになった理由

魔女狩りにおける黒猫の受難の話が、前項では魔女狩りで終わってしまいました。

さて、なぜ黒猫が一緒になって受難しなければならなかったのでしょうか?

まずヨーロッパでは、というよりキリスト教では黒という色が悪魔を連想させること、黒猫はその毛色から暗闇では人間の眼に触れることなく存在することが可能であること、さらにヨーロッパのお伽話や寓話に登場する魔女は必ず黒猫を飼っていること、などが理由として上げられます。

日本で黒猫が福をもたらす、という理由も馬鹿げていますが、黒猫を大切にするという意味では罪がないといえます。 続きを読む 黒猫がジンクスになった理由

夏目漱石と名前のない黒猫

話題を変えましょう。黒猫と作家の話です。

夏目漱石の処女小説「吾輩は猫である」の主人公、吾輩の毛色は淡灰色の斑入りとなっていますが、モデルとなったのは漱石37歳の時、夏目家に迷い込んできたノラの黒猫というのが定説です。

迷い込んでは猫嫌いの鏡子夫人につまみ出されますが、その度に戻ってきます。

ある日、出入りしている按摩のおばあさんが黒猫を見て、「この猫は足の爪まで黒うございますから、珍しい福猫でございますよ。飼っておおきになるとお家が繁盛します」と進言したことから漱石が飼おうと決意、夏目家の住人になり、「吾輩は猫である」の主人公になりました。 続きを読む 夏目漱石と名前のない黒猫