ノラ猫さんは、本当に生粋のノラ猫さんの場合、なかなか仲良くなれません。
以前、一人暮らしをしていた時、そこでは猫を飼うことができなかったので、近所に来るノラ猫さんが、本当にかわいくて、楽しみでした。
黒いノラ猫さんは、なにか猫としての誇りを持っているようで、本当に綺麗なノラ猫さんで、近所で、「くろ」と呼ばれていました。
でも、触らせることはないし、えさをおいてあっても、周りに人間がいなくなってから食べるという念の入れようで、遠くで眺めるしかない、と言う状態だったのです。
猫と言うのは、もともと、束縛されることが嫌な動物です。
ある日、ベランダにちょこんと座っている「くろ」をみかけ、一応、「くろさん、こんばんは。いらっしゃい、入ったら?」なんていってみたのですが、ちょっと近寄ろうとするだけで、逃げ腰・・的な恰好になります。
ま、いいか、と、そのままに。
翌日、ベランダにえさを置いていくと、「くろさん」が食べていったのか、なくなっていました。
そういう関係が長く続き、部屋に入ってくることはなかったのですが、ベランダに来る頃に「くろさんいらっしゃい、今日はイワシだよ」なんて話しかけると、「にゃーぁ」と応えてくれるようになりました。
幸せを感じる、わたしでした。