アメリカに輸出され、Dollar catと呼ばれている招き猫ですが、昭和初期にはすでに海外輸出用として招き猫を作っていたところがあります。
石川県で生産される九谷焼が輸出用招き猫の出生地。
昭和初期、貿易用の見本市のために作ったカタログには、大黒や歌舞伎役者の焼物と並んで、招き猫がしっかりと掲載されています。
残念ながらカタログはモノクロなので九谷焼独特の華やかな色彩は伺うことができませんが、現在でも九谷では招き猫を作っており、その柄や色は当時とあまり変わっていないのではないか、と思わせる作りになっています。
確かに、明治時代に入ってからの新九谷は海外のジャポニズムブームもあって日本を紹介する代表的な焼物となり、また新九谷は型押しの技術を習得したことから置物の大量生産が可能となったので、九谷の招き猫は海外へアピールする最良のモチーフだったともいえます。
九谷焼の招き猫の特徴はなんといっても絢爛な「盛」模様。金銀、青や赤を大胆に配色、日本のシンプルな美ではなく、大陸的豪華主義ともいうべき装飾が施されていること。
日本では九谷の招き猫をあまり見かけることはありませんが、なるほど、確かにこの極彩色を散りばめた招き猫は、強くアジアを感じさせるので海外で受けるはずです。