忠義心をまっとうできなかった化け猫

猫又以上に、猫の妖怪として知られているのが化け猫です。

猫又と混同されることが多いのですが、厳密に言うと違いがあります。

化け猫が有名になったのは「鍋島の化け猫騒動」からでしょう。

江戸時代の寛永から元禄にかけての頃ですね。

佐賀藩の藩主、鍋島光茂の碁の相手を務めていた臣下の龍造寺又七郎、光茂の機嫌を損ねてしまったために斬殺されてしまいます。

息子の死を不憫に思った母、飼っていた猫に恨み辛みを語って猫の前で自害、その流れた血をすすった猫が妖怪に変身し、城内に入り込んで光茂に怨念をぶつけるわけですね。

なんと忠義心の強い猫なんでしょう。

しかし怨念を晴らすことなく光茂の忠臣、小森半左衛門が妖怪化け猫を退治してしまうというのが悲しい結末。

光茂、猫に殺されちゃえばよかったのに。

もちろん、これはフィクションです。

この物語の背景には、竜造寺家と鍋島家の権力争いがあります。

佐賀藩は龍造寺が藩主でしたが、島津家との戦いで猛将隆信が戦死、跡取りとなる政家は領主の器ではないと時の天下人、豊臣秀吉が判断し、実権を握っていた鍋島直茂を藩主にしてしまいます。

なんとか再建を図ろうとする竜造寺家の奮闘が化け猫物語になったわけですね。

では、どうして猫が登場するかというと…。

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